商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 1993/11/05 |
JAN | 9784480080721 |
- 書籍
- 文庫
悲劇の誕生
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悲劇の誕生
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ソフォクレスのオイディプス王を典型とする古代ギリシャ悲劇におけるギリシャ精神の本質を、アポロン的なるものとディオニュソス的なるものの対立と和解という形で論じます。 ディオニュソス(バッカス)は酒の神で、酩酊・陶酔を特徴とし、無秩序な物自体の世界・現実的な苦悩に満ちた世界を意味す...
ソフォクレスのオイディプス王を典型とする古代ギリシャ悲劇におけるギリシャ精神の本質を、アポロン的なるものとディオニュソス的なるものの対立と和解という形で論じます。 ディオニュソス(バッカス)は酒の神で、酩酊・陶酔を特徴とし、無秩序な物自体の世界・現実的な苦悩に満ちた世界を意味する。 破壊するとともに創造のエネルギーともなる。 非造形芸術としての音楽に対応。 アポロンは光の神で、ニーチェはショーペンハウアーの個別化の原理を適用しディオニュソス的な混沌とした世界にはっきりとした形を与えるものを意味する。 ただしそれは夢に象徴されるような仮象の世界である。 絵画や彫刻のような造形芸術に対応。 アポロン的なるもの・ディオニュソス的なるもののどちらか一方が強すぎたり弱すぎたりしてはダメで、両者の相克と和解を経て、アポロン的かつディオニュソス的な悲劇が誕生するようです。 ニーチェは陶酔させて夢を見させる悲劇芸術に、現実の苦悩からの救済・苦悩に直面し引き受けつつも生を肯定することをギリシャ悲劇・ギリシャ精神の本質として認めました。 そういった悲劇がソクラテスやエウリピデスの理性によって堕落した芸術に成り下がっていた当時のドイツ文化において、ワーグナーの音楽に古代ギリシャ悲劇復活の兆候を見出します。
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本来の『悲劇の誕生』。なぜなら本書は『悲劇の誕生』だけでなく『悲劇の誕生』の思想圏に属する他の講演や論文も収録されているからです。 (『悲劇の誕生』の思想圏から) ギリシアの楽劇 講演「ソクラテスと悲劇」の断片 ディオニュソス的世界観 ギリシアの国家 音楽と言葉について (ホ...
本来の『悲劇の誕生』。なぜなら本書は『悲劇の誕生』だけでなく『悲劇の誕生』の思想圏に属する他の講演や論文も収録されているからです。 (『悲劇の誕生』の思想圏から) ギリシアの楽劇 講演「ソクラテスと悲劇」の断片 ディオニュソス的世界観 ギリシアの国家 音楽と言葉について (ホメロスの競争) Ⅰ Ⅱ (ギリシア人の悲劇時代の哲学) 序言 後の序言 本論 継続のための草案 草案覚え書き (ホメロスと古典文献学) 以上が含まれ、こちらの方が『悲劇の誕生』本編よりページ数が多いです。 本来『悲劇の誕生』はニーチェの初期構想によるともっと膨大なものでしたが、ワーグナーのためにそれとは関係のない草案を削除し縮小して現在の形に成りました。ですので本来の『悲劇の誕生』がどのようなものだったのか、本書で垣間見ることが出来ると思います。特に「ギリシアの楽劇」「講演「ソクラテスと悲劇」の断片」「ディオニュソス的世界観」では『悲劇の誕生』の分かり難かった箇所が、別の言葉で分かりやすく述べられており、理解の助けになりました。
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もしも、芸術の発展がアポロン的なものとディオニュソス的なものの相克によるものだということが・・・の有名な一文ではじまる『悲劇の誕生』は出版当時ほとんど誰からも理解されてなかった。アポロンが陽なら、ディオニュソスは陰、アポロンが夢の象徴であるなら、ディオニュソスは陶酔の象徴だ。コ...
もしも、芸術の発展がアポロン的なものとディオニュソス的なものの相克によるものだということが・・・の有名な一文ではじまる『悲劇の誕生』は出版当時ほとんど誰からも理解されてなかった。アポロンが陽なら、ディオニュソスは陰、アポロンが夢の象徴であるなら、ディオニュソスは陶酔の象徴だ。コロスの乙女たちは、舞台上でプロメテウスの巨人を実際に体験していた。今の時代の自分をカッコに入れて、当時の情景を元あるままにあるように自己を投射する系譜学の要諦、その技術によって過去からそれらを救い出すことをニーチェは可能にした。これがいかにすごいことか。
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