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肉体の悪魔・失われた男 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/講談社 |
発売年月日 | 2006/08/12 |
JAN | 9784061984516 |
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肉体の悪魔・失われた男
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肉体の悪魔・失われた男
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商品レビュー
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3件のお客様レビュー
祖父の軍歴を調査したら、戦中、田村泰次郎と同じ隊に所属していたようなので、祖父の軍隊生活の参考までに。
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「肉体の悪魔」「蝗」「渇く日々」「肉体の門」「霧」「失われた男」を収録。作品の発表年順でなく、戦中から戦後へと時代の流れに沿って並べた趣向。同じような題材でも、後年に書かれたもののほうが作品としての上手さを感じさせる。一方で年代の若いものは、戦後すぐくらいの自由でギラギラした臨場...
「肉体の悪魔」「蝗」「渇く日々」「肉体の門」「霧」「失われた男」を収録。作品の発表年順でなく、戦中から戦後へと時代の流れに沿って並べた趣向。同じような題材でも、後年に書かれたもののほうが作品としての上手さを感じさせる。一方で年代の若いものは、戦後すぐくらいの自由でギラギラした臨場感があり、それはそれで読み応えがある。 各作品に主要人物として出てくる男は、ほとんどが戦争帰り。そして戦地では、慰安婦のお世話になりまくり、「失われた男」なんか、現地の一般女性までも強姦しまくりで気分が悪くなる。戦地にあって「ふたたび、生きて帰れるか、どうか、誰にもわからない、いまというとき、女体を力一ぱい抱き締め、性の確証をつかみたい」なんて具合に勝手なこと言っている。移動の途中に他部隊の将校が「頼む。な、兵隊たちのために、頼む」と自部隊の兵隊たちに主人公の部隊付きの慰安婦を都合してくれるよう頼んできたことも、こんなふうに美しく表現されてしまう。 「痛切なという形容詞の、これほどぴったりとあてはまる語りかけは、ひとの一生でそれほどたびたび経験するものではない」(蝗) こんなの、男たちが自分たちに酔いしれてつくりあげる男だけが登場人物の物語に過ぎない。慰安婦たちには人間とも思わないような接し方をしているくせに。 だから、収録6編のうち「肉体の門」については、戦後の街頭で「生産場と消費者との直結」的に自分で客を見つけ自分を売りながら生きる女たちのいきいきとギラギラした感じが出ていてすくわれる。ただ、この作品も、結局は女たちを蔑視する伊吹新太郎の視点が勝ってしまっているのだけど。 解説(秦昌弘)で「『肉体文学』作家として喧伝された田村泰次郎は多くの読者を得たものの、理解されることが少なかった作家である」と述べている。多くの読者を得たということは、田村の作品は同時代を生きた男たちにとって共感のもてるものだったということではないだろうか。それでいて、理解されることが少なかったとは、田村作品の中の戦地の男たちのような行動をおおっぴらにするわけにはいかず、「失われた男」でいうところの「恥部」と考えたからではないだろうか。そしてふたをする風潮が勝ってしまった。恥部として目をそむけるべきではなかったのに。 本書巻末に「今日からみれば、民族的偏見や女性差別等、不適切と思われる表現がありますが、戦時下における状況の記録性、作品発表の時代背景などを考慮し、底本のままとしました。」と書かなくてもいい一言がかいてあるが、こうして当時の状況や空気を知れることこそが文学の価値なのに、そこに目を向け、反省することなく、それこそ今では田村泰次郎なんて言葉の端にものぼらなくなっている世の中ってどうなんのだろう。そのあげく、『永遠の0』のような甘ったるい、自分たちがいい子ちゃんになってしまう戦争モノが跋扈し、歴史認識が歪められていくことに危機感を覚える。 女性の描き方に関して、反吐が出そうなほど気分の悪いものがある作品たちだけど、オブラートに包んだりごまかすことなく、卑怯な解釈をすることなく、赤裸々に人が人として直截に感じる戦地のひどさを描いている点で、読んでおいてよかったと思える本だった。
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先に「蝗」「失われた男」を読んでいたのだが、代表作の「肉体の門」「肉体の悪魔」を読まねばと、文庫本を購入。 田村泰次郎の戦争体験、精神論で語られ、ギリギリで生きている戦場。そして終戦。戦後の兵士たち、若い女性たち置かれた環境や精神状態、明日が見えない生き方を考えると、私たちには想...
先に「蝗」「失われた男」を読んでいたのだが、代表作の「肉体の門」「肉体の悪魔」を読まねばと、文庫本を購入。 田村泰次郎の戦争体験、精神論で語られ、ギリギリで生きている戦場。そして終戦。戦後の兵士たち、若い女性たち置かれた環境や精神状態、明日が見えない生き方を考えると、私たちには想像できない壮絶な葛藤が根底にあり、いまとは全く裸の荒々しい違うナマの人間の生き様がある。 「肉体の門」の売春を繰り返す若い女達と、帰還兵の男性。そして肉体の開放。「肉体の悪魔」の中国女性と主人公の戦場での逢引。 どれも印象に残った作品である。 映画化されているというので、次回はDVDを探してみようと思う。
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