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BC級戦犯裁判 岩波新書
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BC級戦犯裁判 岩波新書

林博史(著者)

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BC級戦犯裁判 岩波新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/岩波書店
発売年月日 2005/06/23
JAN 9784004309529

BC級戦犯裁判

¥814

商品レビュー

3.6

8件のお客様レビュー

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2024/03/17

広大なアジア太平洋で繰り広げられた戦争によって、日本軍が行ってきた行為は侵略に間違いはないであろう。アジア解放といった大義名分は何処へいったか一般市民、婦女子を殺戮・強姦などで恐怖に陥れ食料補給の考え方に乏しい(必ずしも考えなかったわけではなく、物資不足による事情がそうせざるを得...

広大なアジア太平洋で繰り広げられた戦争によって、日本軍が行ってきた行為は侵略に間違いはないであろう。アジア解放といった大義名分は何処へいったか一般市民、婦女子を殺戮・強姦などで恐怖に陥れ食料補給の考え方に乏しい(必ずしも考えなかったわけではなく、物資不足による事情がそうせざるを得なかった感も否めないが)日本軍は現地調達の名目で食糧の略奪や反抗する民衆に暴力を加えたりした。また日本軍の侵攻に邪魔になる様な密告者などスパイ容疑をかけて処刑し、時には民衆の見せしめにと残虐な方法での殺害を行なったのも事実であろう。規模の大きさでは南京虐殺やバターンの死の行進などが有名ではあるが、被害者の数が膨大になり現場で起こった事実と責任の所在はあやふやになってしまう。司令官などが纏めて責任を取らざるを得ないのは、現代社会における会社組織も同様である。突き詰めれば、担当者が会社の金を横領した場合なども上司の課長職のみならずそういった体質を作り上げた、もしくは発生を防止する措置を講じなかった部長や管掌役員、社長にまで責任が及ぶのと同じである。 本書を読み普段の自分の仕事の中で、見つめ直さなければならない箇所が幾つもある事に気付くし、見て見ぬ振りや面倒くさいといった感情に駆られる時でもそれを捨てて公共(会社)の利益を最優先する姿勢がなければまともな組織は維持できないことをよく理解できる。軍隊も会社も同じである。 本書に記載される通り、戦場の兵士である以前に1人の人間として善悪の基準と強い意思・精神力がなければ簡単に外道に堕ちる。ただ一つ間違いないのは戦場が日常とは比べ物にならない程、殺戮が起こりやすい異常な空間であること、それを維持し勝利するためには鬼神の様なあり得ない精神状態まで高めなければ、簡単に自分の命は失われてしまう状況にあることだ。命令拒否・不服従それ自体が自分を滅ぼす状況下において、果たして上官の命令に従わず目の前の民衆を生かす事ができたであろうか。やらねば自分が生きられない極限の世界。そう考えると、戦争そのものの勝利するという目標地点に向かう手段と選択肢が沢山ある中で、目の前の非人道的行為に手を染めてしまう兵士の心理状態は極限であり、簡単に「人として」と片付けられない。自分がその立場に居なければ、文字で伝わるだけの事柄に簡単に同情はできない。同情すべきは理由は何であれ殺されたり暴力を受けた側である事に違いない。だがその様な中でその場の異質な空気と静止の分かれ目に居なかった自分が誰が悪いと評価することも出来ない。その様な意味で戦争犯罪の裁判は極めて難しく、BC級となれば尚更である事が本書から痛いほど伝わってくる。

Posted by ブクログ

2017/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2005年刊。著者は関東学院大学教授。タイトルどおりの書で対象国は米中英蘭仏豪等広範。個例提示の上坂冬子著と違い、全体的にマクロ的に分析。そこから浮かび上がるのは、巨視的には、各国の戦後政策が大きく影響している事実(例.米:対ソや占領政策の転換。英:植民地との融和政策から民衆虐待に力を。仏:印支半島の独立運動の弾圧のため民衆虐待は無関心。豪:食人被害のため厳格な対応。中:国共内戦の進展と中共の融和政策、国民党の対米配慮など)。訴因としての住民虐待の多さ。捕虜虐待が議論されがちな国内の論調との乖離である。 著者も自覚するが、個別事情は多様(国の違いだけでなく、裁判官の体験による差にも言及)、あるいは、直接手を下した人物が不利に扱われがちな上、逃げ得した人物(人定が困難なため)も多く、拘留・起訴に関する不公平感は否めない。無差別爆撃の等閑視、性犯罪の軽視等多くの限界をはらんでいた。が、例えば、被害者側からの情状証言があれば刑の軽減が図られていた(身内の有利な証言が信用されないのは証拠法上当然。なお身内の不利な証言は信用される)等、問答無用で科刑されたわけではない点もある。 想像よりも死刑割合が少、二等兵の死刑はない(ただし、著者は下級兵士の死刑には反対)点。戦犯死刑は否定されるべき点、国際的中立的制度の必要性など反面教師として後世の各種制度に与えた影響も指摘。PS.仏の植民地政策面での戦犯裁判は見受けない視点で良。日本の捕虜死亡割合が25%を越える一方、独の「英米」捕虜が7%(数字マジック有。ただソ・東欧捕虜を含まない指摘も有)、シベリア抑留が10%の死亡率は注目。「責任についての1919年委員会」(日/参加)で上官命令は抗弁足り得ないと決定。注意。

Posted by ブクログ

2014/02/19

戦犯裁判に関して,問題視する側も擁護する側も,どうしてこう極端なんだろう. この本は,裁く側を徹底的に「擁護」している.仮に,裁判側に問題があるようなことを書く場合においても「戦時中の蛮行を忘れてはいけない」等のコメントを多くの箇所につけ,読者の心証をコントロールしようとしてい...

戦犯裁判に関して,問題視する側も擁護する側も,どうしてこう極端なんだろう. この本は,裁く側を徹底的に「擁護」している.仮に,裁判側に問題があるようなことを書く場合においても「戦時中の蛮行を忘れてはいけない」等のコメントを多くの箇所につけ,読者の心証をコントロールしようとしている. 特にどちらの肩をもつわけではないが,上記のような書き方には良い印象がもてない.

Posted by ブクログ

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