忍者からす 新潮文庫

柴田錬三郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 1997/12/01
• JAN: 9784101150475

商品レビュー

2021/08/21

忍者連作小説

[長束]

忍者からす、一休禅師、山中鹿之助、塚原卜伝、丸目蔵人、由比正雪、幡随院長兵衛、蜀山人、国定忠治

熊野権現に仕える幻の忍者集団「鴉」の誕生から、その「鴉」どもの暗躍？を描く連作小説。
「あの日本史の有名人が！？」という趣向。しかし、暗躍っていうほどでもないような…。
個人的には読者サービスが過ぎる感じでした。
しかし、鳥川宜好の「神鴉伝奇」は実在するのか？。民明書房？。
柴錬立川文庫おそるべし。

2010/05/28

忍者と言えば「山田風…

[文庫ＯＦＦ]

忍者と言えば「山田風太郎」や「梟の城」を思い浮かべるが、本書もそれらに匹敵する忍者小説である。忍者の、忍術にかける執念が伝わってくる力作です。

2023/10/02

本書は九編からなる連作の忍者伝奇小説である。「オール読物」に昭和39年 １月号から12月号にかけて連載された。短篇集ではないので、はじめから順に読んでいったほうがよい。柴錬といえば忍者小説の大家であるが、 本作は熊野権現の幻の忍者団"熊野神鴉党"の忍び「鴉」が代を継いで、 歴史上の意外な人物と交錯していくという趣向で、いかにもそれらしく 描いているので、初めは史実なのかと思って読んでいた。その人物とはすなわち「一休禅師」「山中鹿之介」「塚原卜伝」「丸目蔵人」「由井正雪」「幡随院長兵衛」「蜀山人」「国定忠治」である。なんと･･･怱々たる日本の傑物たちの活躍の陰に「鴉」たちの暗躍があったとは･･･なんてね。もちろん、 これらは小説であり、作者の想像力の飛翔にまかせた忍者譚である。 柴錬節全開で最後まで面白く読めた。

本書の「鴉」のような、まるで超能力者の忍者は多くの小説に登場する。それは半ばホラ話であったが、いつの間にか超人としての忍者像は俗世間に定着して、海外でも同様に認識されるようになった。漫画「NARUTO」や海外で制作される忍者映画などを観てそう思う。小説など創作物の力もバカに出来ないものだとつくづく思う次第である。