商品詳細
内容紹介 | 内容:訪問者.調整班.スパイはだれだ.超能力世界.新世代.輪廻の車.少数報告.くずれてしまえ.出口はどこかへの入口.凍った旅 |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1987/12/20 |
JAN | 9784102255018 |
- 書籍
- 文庫
悪夢機械
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
悪夢機械
¥572
在庫なし
商品レビュー
3.6
9件のお客様レビュー
奇妙な宗教が支配する…
奇妙な宗教が支配するようになったアメリカを描く「輪廻の車」など、初期作品から晩年の作品まで、日本未紹介の短編を10編収録。
文庫OFF
1950年代、作者が長篇作家へと飛躍するまえに書かれた短篇群を中心に編まれています。 ディックの名作を挙げるとすれば、おそらくだれもが長篇群から選ぶでしょう。しかし、この短篇集は、のちに『マイノリティ・リポート』として映画化される短篇(「少数報告」)も含んでおり、それだけでも読...
1950年代、作者が長篇作家へと飛躍するまえに書かれた短篇群を中心に編まれています。 ディックの名作を挙げるとすれば、おそらくだれもが長篇群から選ぶでしょう。しかし、この短篇集は、のちに『マイノリティ・リポート』として映画化される短篇(「少数報告」)も含んでおり、それだけでも読む(または現在は絶版ということもあり、持つ)価値はあるでしょう。 しかし最初に述べたように、長篇作家としての成熟期を迎える以前の作品集なので、総じて「秀作」というより「習作」と評するのが妥当かもしれません。 また、時代設定は「未来」でも、どうしても書かれた「当時」の風俗などが良くも悪くも(多くの場合、後者の意味で)感じられます。 「うーん」と思いながら読み進める一方で「いいな」と率直に思えたのは、最後に所収されている以下の作品。他のサイトからを引用すると―― ■Frozen Journey 凍った旅 1980 浅倉久志・訳 LR4星系まで10年の宇宙旅行の途中で、冷凍睡眠に入っていた乗客のひとりが半覚醒の状態に陥ってしまう。彼を再び眠らせることはできそうにない。宇宙船はやむなく彼に「感覚刺激」を提供することにする。感覚が遮断されると危険なのだ。だが、彼は宇宙船が提供する「夢」のことごとくを不快な記憶に結びつけてしまう。まだ自分が夢を見ているのだと信じ続けていた。船は男に、目的のLR4星系に到着した夢を繰り返し見せ続けた。そして10年後、船はようやくLR4星系に到着した。だが、男はまだ自分が夢を見ているのだと信じ続けていた…。成熟した作品だ。 (http://www.silverboy.com/silverboy/pkdsht11.htm) ようやく目的地に到着したのに、「まだ自分が夢を見ているのだと信じ続けていた」という皮肉。しかし、その一方で、かつて彼と離婚した妻は、宇宙船のはからいによって彼と再会し、「『夢』のことごとくを不快な記憶に結びつけてしまう」彼のことを再度受け入れることにします。 もし本作が「成熟した作品」であるならば、その大きな理由として彼女の「成熟」があるからでしょう。ディックと同じく1950年代にデビューしたSF作家カート・ヴォネガットは、妻との青春秘話「永遠への長い道」を1960年に発表(のちに映画化)しましたが、そこで描かれた出来すぎにしても読ませてしまうロマンスを思い起こさせてくれました。
Posted by
読んだことのあるディック作品といえば『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』のみという完全な門外漢状態で読み始め。晩年の作というラスト2篇はあまりピンと来なかったが、それ以外はどれもバラエティに富んでいてSF的趣向や仕掛けを堪能できる。「少数報告」は後に「マイノリティ・リポート」の...
読んだことのあるディック作品といえば『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』のみという完全な門外漢状態で読み始め。晩年の作というラスト2篇はあまりピンと来なかったが、それ以外はどれもバラエティに富んでいてSF的趣向や仕掛けを堪能できる。「少数報告」は後に「マイノリティ・リポート」の名で映画化もされていて、原作とはだいぶ変わっているようなのだが、そもそも観たことがないのでネタバレ感もなく、こちらも普通に楽しめた。解説で知ったがディックは元々短編作家だったようで、ならばこそ未収録作を集めても秀作揃いなのね。
Posted by