商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2000/09/01 |
JAN | 9784091912596 |
- コミック
- 小学館
ローマへの道(文庫版)
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ローマへの道(文庫版)
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商品レビュー
3.7
15件のお客様レビュー
萩尾望都のバレエ系。 パリのコンテンポラリーバレエ団に晴れて入団したローマ出身の主人公の男の子とその同期の子たちの群像劇。 モノローグが多くて主人公の心の内がかなり書いてあるのですが、びっくりするぐらい性格が悪い…というか、つまり、リアルということかな。ニコニコしてスマートに対...
萩尾望都のバレエ系。 パリのコンテンポラリーバレエ団に晴れて入団したローマ出身の主人公の男の子とその同期の子たちの群像劇。 モノローグが多くて主人公の心の内がかなり書いてあるのですが、びっくりするぐらい性格が悪い…というか、つまり、リアルということかな。ニコニコしてスマートに対応してるようで、心の内では、同期よりも自分が上とか、あいつがいい役をもらったとか、とにかく妬み嫉み負の感情のオンパレード。ガールフレンドの成功も喜べずイライラをぶつけてしまう。DVまで。そんな人を主人公に置くマンガって珍しい。 でもそこは萩尾望都。バレエマンガもよくあるバレエマンガではなく、どちらかというと心のどろっとした動きにフォーカスを当てたストーリー運び。彼女は内面を主題において環境に反映するような作品が多いですね。とくに、幼少期を受けたトラウマの克服および、克服しきれず一生付き合ってゆくその人のなかの黒いものなど。 「すべての道はローマに通ず」という外国のことわざがあるけど、主人公の心の棘も焦りもすべて、実は彼が幼少期に体験したことが原因であることに、主人公とともに読者も気がつく。過去と向き合い、母と向き合い、そして仲間を認め、バレエ表現に昇華する。 主人公だけを追うとちょっと息苦しいところもあるけれど、周りの仲間のエピソードや造形が癒やし。とくに、背が180センチあってバレエダンサーになることを諦めていた年上の同期の女性が、魅力的だったなぁ。サバサバしていて視野が広い。妬み嫉みで視野が狭くなりがちな主人公の男の子と対極的。 SFのイメージがある萩尾望都は意外にもバレエ漫画を一時期よく描いている。彼女がバレエに惹かれるのはよくわかる。ダンサーの体の動きの絵が美しいから。 表題作のほかに、あと2つバレエをテーマにした短編が入ってる。そちらのほうが好きかもしれない。バレエ団の世界って興味深い。
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バレエの美しさ、競争の大変さ、嫉妬、過去の辛さに向かい合い自分を表現して初めていいものが生まれる、愛。これらを混ぜた物語。
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- ネタバレ
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初読。 ■ローマへの道 202p ベルギーの育ての父母たる叔父叔母のもとを離れてパリでバレエ修行中のマリオ。 叔母の葬儀で叔父から、死んだと聞かされていた実の母が、夫つまり実の父を殺したあとローマで生きていると教えられて動揺し、パリに戻っても恋人とうまくいかず……。 という筋だが、マリオが恋人のラエラを殴る(!)とき必ず母が父を殺した凶器の麺棒がよぎる……この描写が凄い。 いわば救いが描かれるわけだが、個人的には、描かれない今後も想ってしまう。 ドメスティック・バイオレンスと親子の繰り返しの問題。あとは日常の倦みについて。 漫画内で、読者の味わいをよくするためには、たとえば一回だけマリオがラエラを打って、何度も記憶に苛まれるという流れにしてもいいところを、結構執拗で飽きてしまうくらいに、何度も何度も何度も、マリオがDVする場面が繰り返される。 あ……これひょっとしたら「呪い」から「解放」されたあとも続くのかも……というやりきれなさを、個人的に読んでしまい、すっきりせず……しかしこの「すっきりしなさ」が大事だと思う。 「残酷な神が支配する」同様、一度ぶっ壊れてしまった人の、一回の出来事で救われない粘着性のようなもの。 またその日常性の毒には、才能やら妬みやらも係わって、表現者として陥りがちな陥穽も要素になって、もう業が深すぎて……。 *ルームメイトのレヴィはこの後「感謝知らずの男」で描かれる。 ■青い鳥(ブルーバード) 50p 「世界が不条理でも、舞台だけは美しかった。舞台にだけは青い鳥が住んでいた」「誰も誰かの青い鳥にはなれない」 至言の連発。 ■ロットバルト 50p 単純に「白鳥の湖」だから、ダーレン・アロノフスキー監督「ブラック・スワン」を思い出したが、ミステリの枠組みも似ている。 ◇エッセイ―萩尾さんの髪の毛の南北問題:さそうあきら(漫画家) 4p 髪色について。黒髪と金髪と描き分けることで、説明なく人物の出身が北か南かを示している、という指摘。 これは素晴らしい着眼点だと思った。
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