賢者の一燈 沼田恵範の初心

大住広人(著者)

• 販売会社／発売会社: 佼成出版社
• 発売年月日: 2005/03/30
• JAN: 9784333021338

商品レビュー

2014/04/15

ミツトヨの創業者の本です。既に絶版で中古を購入。でもとてもいい状態の本でした。ひょんなことから知った創業者の沼田惠範さん。この本では、惠範さんの生まれから海外留学、病気、起業、ミツトヨの繁栄、亡くなるまでを当時の時代背景とともに客観的に書かれています。ミツトヨは未上場企業ですが、精密機器の業界で知らない人はいません。先日TVでドラマ化されたトヨタ創業者の豊田喜一郎さんと同じ時代を生き現在も優良企業として存在します。創業者の魂を受け継ぎながら、時代の変化に対応している企業の一つです。 この会社の創業の目的は仏教の布教活動、また仏教を知ってもらうことで世界平和のために興したのです。売上の一部を仏教伝導協会に寄付しています。徹底した原価管理、従業員給与も高くないと言われています。企業の方向性を知らずに入社した社員から多少の反発はあると聞くけれど、それでもこの規模の優良企業でいれるのには、人間育成を欠かさないからだと思います。人間学は企業哲学の中に存在しずっといろいろな本を読んできたけれど、自分にとって一番好きな経営者になりました。浪費家の自分には惠範さんのようにはいかないけれど、事業を行う本来の目的、初心を忘れずやり抜くエネルギーは全てが思いなんだと改めて実感。尊敬する経営者であり人間です。会社は儲けるためではなく、社会貢献が目的と思うわたしにはこの人の生き方が好きです。公けにはなっていないミツトヨの裏話を聞き、戦前戦中戦後を生き抜いた人の恩義はすごいと思いました。永遠に消えることがないです。この本には日立の取引について掲載がありますが、それはごく一部です。創業者の思いに触れることができ本当に読んでよかった。