商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2005/03/11 |
JAN | 9784488142056 |
- 書籍
- 文庫
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
ヒロイン・マチルドの…
ヒロイン・マチルドのように、恋人や夫の消息を求めて続けている女性もたくさんいたことであろう。その希望と絶望が入り混じる心情を思うと胸が張り裂けそうになる。本書の中で、マチルドと共に恋人の行方を探し続ける、もう一人の女性ティナ・ロンバルディの存在が効果的である。マチルドと光と影の関...
ヒロイン・マチルドのように、恋人や夫の消息を求めて続けている女性もたくさんいたことであろう。その希望と絶望が入り混じる心情を思うと胸が張り裂けそうになる。本書の中で、マチルドと共に恋人の行方を探し続ける、もう一人の女性ティナ・ロンバルディの存在が効果的である。マチルドと光と影の関係を構築し、奥深さを感じさせる。セバスチアン・ジャプリゾを読むのは、本書が初めてであったが、シニカルでありながらユーモア溢れる筆致に魅了された。
文庫OFF
映画『ロング・エンゲ…
映画『ロング・エンゲージメント』の原作。ジャプリゾを知らない人にもお勧めできる作品です。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
考えてみれば、フランス人の書いた世界大戦ものを読んだのは初めてだと思います。 人名・地名にもなじみがなく、エピソードもほとんどわからないまま読みましたが、とても引き込まれました。 主人公マチルドは、婚約者であるマネクが戦死してしまいましたが、彼の最期を知る人に呼ばれてその日起こったことを聞かされます。 けれどそれはマチルドには納得できることではありませんでした。 早く退役するためにわざと自分の利き手を銃で負傷させる兵士が増え、戦場の士気が下がったため軍事裁判でそれらの兵士は死刑判決を受けました。 マネクもその中に入っていました。 しかし、対ドイツ軍との前線で膠着状態に陥っていた時期であったため、責任者は死刑ではなく、最前線に死刑囚5人を放置したというのです。 そしてそれは、人道に反することなので、軍事機密とされます。 関係者も戦死してしまい、軍が秘密にしようとしていることを、民間人の少女が暴くことは相当に難しいことです。 しかもマチルドは3歳の事故で、車いすの生活を送っているのです。 しかし、マチルドはゆっくりとではあっても着実に謎に迫っていきます。 物語のテンポは決して速くないのですが、詳細な描写や緻密な構成に、ついつい夜を徹して読んでしまいました。 軍は本当に5人の兵士たちを見捨てたのか。 それとも何かの拍子に彼らが助かる目はあったのか。 マネクの消息を知っている人はいるのか。 決してあきらめないマチルドの強さ。 まだティーンエイジャーなんですよ。 3歳上のマネクでさえ19歳。 重苦しい作品のように思われるかもしれませんが、文章が軽妙なので、読んでいてとても楽しいのです。 「”「やれやれ、おセンチな男たちって厚化粧のオバさんたちよりむかつくわ」と心の中でマチルド。” ”一度声をかけられたことさえある。忘れられないほど素晴らしい言葉を投げかけられながら、あいにくもう思い出せなかったが。” マチルドは関西系のお笑い芸人なのでしょうか。 特に、兄嫁さんについてがひどい。 出てくるたびに『美人(ベル)でもなければ実の姉(スール)でもない義理の姉(ベル・スール)』と枕詞がもれなくついてくるのです。 ちなみにマチルドは美人です。 線その悲惨さ・愚かさを見事に描きながら、しっかりとミステリで、キャラクター造形の妙を味わえる、とても素晴らしい作品でした。
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