長い日曜日 の商品レビュー
ヒロイン・マチルドの…
ヒロイン・マチルドのように、恋人や夫の消息を求めて続けている女性もたくさんいたことであろう。その希望と絶望が入り混じる心情を思うと胸が張り裂けそうになる。本書の中で、マチルドと共に恋人の行方を探し続ける、もう一人の女性ティナ・ロンバルディの存在が効果的である。マチルドと光と影の関...
ヒロイン・マチルドのように、恋人や夫の消息を求めて続けている女性もたくさんいたことであろう。その希望と絶望が入り混じる心情を思うと胸が張り裂けそうになる。本書の中で、マチルドと共に恋人の行方を探し続ける、もう一人の女性ティナ・ロンバルディの存在が効果的である。マチルドと光と影の関係を構築し、奥深さを感じさせる。セバスチアン・ジャプリゾを読むのは、本書が初めてであったが、シニカルでありながらユーモア溢れる筆致に魅了された。
文庫OFF
映画『ロング・エンゲ…
映画『ロング・エンゲージメント』の原作。ジャプリゾを知らない人にもお勧めできる作品です。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
考えてみれば、フランス人の書いた世界大戦ものを読んだのは初めてだと思います。 人名・地名にもなじみがなく、エピソードもほとんどわからないまま読みましたが、とても引き込まれました。 主人公マチルドは、婚約者であるマネクが戦死してしまいましたが、彼の最期を知る人に呼ばれてその日起こったことを聞かされます。 けれどそれはマチルドには納得できることではありませんでした。 早く退役するためにわざと自分の利き手を銃で負傷させる兵士が増え、戦場の士気が下がったため軍事裁判でそれらの兵士は死刑判決を受けました。 マネクもその中に入っていました。 しかし、対ドイツ軍との前線で膠着状態に陥っていた時期であったため、責任者は死刑ではなく、最前線に死刑囚5人を放置したというのです。 そしてそれは、人道に反することなので、軍事機密とされます。 関係者も戦死してしまい、軍が秘密にしようとしていることを、民間人の少女が暴くことは相当に難しいことです。 しかもマチルドは3歳の事故で、車いすの生活を送っているのです。 しかし、マチルドはゆっくりとではあっても着実に謎に迫っていきます。 物語のテンポは決して速くないのですが、詳細な描写や緻密な構成に、ついつい夜を徹して読んでしまいました。 軍は本当に5人の兵士たちを見捨てたのか。 それとも何かの拍子に彼らが助かる目はあったのか。 マネクの消息を知っている人はいるのか。 決してあきらめないマチルドの強さ。 まだティーンエイジャーなんですよ。 3歳上のマネクでさえ19歳。 重苦しい作品のように思われるかもしれませんが、文章が軽妙なので、読んでいてとても楽しいのです。 「”「やれやれ、おセンチな男たちって厚化粧のオバさんたちよりむかつくわ」と心の中でマチルド。” ”一度声をかけられたことさえある。忘れられないほど素晴らしい言葉を投げかけられながら、あいにくもう思い出せなかったが。” マチルドは関西系のお笑い芸人なのでしょうか。 特に、兄嫁さんについてがひどい。 出てくるたびに『美人(ベル)でもなければ実の姉(スール)でもない義理の姉(ベル・スール)』と枕詞がもれなくついてくるのです。 ちなみにマチルドは美人です。 線その悲惨さ・愚かさを見事に描きながら、しっかりとミステリで、キャラクター造形の妙を味わえる、とても素晴らしい作品でした。
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読み始めたら止まらなくなり、オリンピックそっちのけで一気読みしてしまった。 戦争を扱ってるせいか、他のジャプリゾ作品とは多少趣が違う。けれど読ませる力はやっぱり凄い! これでほぼ事件の全容は解明された…と思わされたら、更に一捻り。彼女があの糸口から、よくその真実に至ったな…と感...
読み始めたら止まらなくなり、オリンピックそっちのけで一気読みしてしまった。 戦争を扱ってるせいか、他のジャプリゾ作品とは多少趣が違う。けれど読ませる力はやっぱり凄い! これでほぼ事件の全容は解明された…と思わされたら、更に一捻り。彼女があの糸口から、よくその真実に至ったな…と感心させられる。恋の力かな。
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戦争から戻らない恋人を探す、身体の不自由な女性の物語。 恋人と同時に姿を消した兵士には、娼婦の恋人がいた。 この娼婦が一本気な子で印象に残った。 ヒモの彼氏と新婚さんのように家具を揃えて楽しく暮らしていた頃を、 振り返る手紙が切ない。作中いちばん印象に残っている。 彼女はヒモ...
戦争から戻らない恋人を探す、身体の不自由な女性の物語。 恋人と同時に姿を消した兵士には、娼婦の恋人がいた。 この娼婦が一本気な子で印象に残った。 ヒモの彼氏と新婚さんのように家具を揃えて楽しく暮らしていた頃を、 振り返る手紙が切ない。作中いちばん印象に残っている。 彼女はヒモ同然だった相手を深く愛していて、その彼が戦争中にだまし撃ちのように殺されたのを知る。 彼女は、殺した上官を見つけては復讐していく。 それが発覚して、最後には断頭台に送られてしまうのだ。 その前に、ヒロインに恋人を探すヒントを伝えてくれる。 ヒロインを、人を愛するものとしての、魂の同士と考えたのかな。 彼女にとっては悔いのない一生だったのか。
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「絶対彼とまた会える」。 戦火の中で離れ離れになってしまった幼馴染の二人。 前線で戦うことになってしまった彼の帰りを待ち続ける主人公マチルド。 戦後になっても帰らない彼をいつまでも待ち続けるマチルド。 悪い知らせも何のその。 希望を捨てきれないマチルドは遂に彼の消息を自ら調べに...
「絶対彼とまた会える」。 戦火の中で離れ離れになってしまった幼馴染の二人。 前線で戦うことになってしまった彼の帰りを待ち続ける主人公マチルド。 戦後になっても帰らない彼をいつまでも待ち続けるマチルド。 悪い知らせも何のその。 希望を捨てきれないマチルドは遂に彼の消息を自ら調べに旅立ちます。 恋愛・戦争・ミステリー・歴史、1冊の本にこれらがすべて詰まっています。
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