商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | アーティストハウスパブリッシャーズ/ |
発売年月日 | 2005/04/23 |
JAN | 9784902088731 |
- 書籍
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海を飛ぶ夢
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海を飛ぶ夢
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商品レビュー
3.5
5件のお客様レビュー
映画の脚本ではなく、ラモンが友人や神父や判事、国王陛下にあてた手紙で構成されている。 現実から目を背けず、利害関係に陥らないよう考え続け、個人的な解放を目的とするのではなく、人間の尊厳と思想の自由の獲得の為に戦った軌跡。命を愛しているからこそ、安楽死を当然の権利として訴える。どん...
映画の脚本ではなく、ラモンが友人や神父や判事、国王陛下にあてた手紙で構成されている。 現実から目を背けず、利害関係に陥らないよう考え続け、個人的な解放を目的とするのではなく、人間の尊厳と思想の自由の獲得の為に戦った軌跡。命を愛しているからこそ、安楽死を当然の権利として訴える。どんどん文言が過激になるのが、苛立ちをリアルに感じさせる。 誰の為に何の為にどう生きるのか、当事者からの重い問いかけだった。
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著者のラモン・サンペドロ氏は、初めて法廷の場で安楽死を求めた人物。スペインの憲法裁判所は「手続き上の不備」を理由に訴えを却下するが、彼の要求をきっかけに、安楽死が社会的問題として注目を集めるようになったという。 その後も彼は、メディア上でも尊厳死の訴えを続け、最終的にはひとの手を借り、望まぬ方法で自らの人生に終止符を打つことになる。 本書をなにで知ったか忘れたが、多分、最近読んだ自由死を扱った『本心』(平野啓一郎)か、年齢による安楽死選択が可能となった近未来を描いた映画『PLAN75』(早川千絵監督)あたりを見聞きしているうちに知ったのだと記憶する。 地球人口が過剰になるからという理由だけでなく、尊厳死の「権利」の問題は、今後の社会では避けて通れない問題になる可能性は大きい。 彼の安楽死が認められなかった理由が、「手続きの不備」という実に曖昧な理由で却下された事実を見ても、より議論が進められ検討がなされる課題だと感じた。 ラモンはさらに考察を深め、 「四肢麻痺は病気ではない。それは慢性的な死である。」 と訴え、為政者や宗教が自ら命を絶つ権利を認めないのは、 「命を守る意味を取り違えている者たちの手で、人工的な延命措置」 が採られているにすぎず、死や痛みへの恐怖を、ひとつの手段として利用し(ラモンは、「この恐怖を武器に使ってきた」と言い放つ)、その行為をテロリストになぞらえる。 「テロリストとは、人間が抱いている死や痛みへの恐怖を利用して、自分たちの望みを叶えようとする奴らのことだ。」 私は傾聴に値する意見だと感じた。 彼のように、四肢麻痺でも、理性も知性も正常に動く人間が、考えた上に辿り着いた結論が、 「再生に向けた唯一の活路は物質の解体だけなのである」 だとしたら、本人の望む「権利」の施行を思い止まらせるのに、どのように抗弁、説得を重ねれば良いか、自分は答を持たない。 ましてや、思考も意思疎通の手段も持たない状態の植物人間のまま延命措置を施されている状態の人は、もっとその思いを強く心の奥の奥に抱いているではなかろうかと思うと・・・・。 もちろん、多くの識者、専門家が今もなお考察を続けているとは思うが、自由死、尊厳死が、人口問題に絡んで認められるようになるのは、人間として恥ずかしいことなのではないかと思わないでもない。 何が正しく、何が間違っているのかもいまだ混沌としているが、いろんなことを考えさせられる著作だった。
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久しぶりに人間感情にダイレクトに訴えかけてくる本を読んだ。 死への願いは、社会では正当化されない願い。 特にキリスト教圏ではそうなのかもしれない。 自然な願いを悪を用いて否定される事の辛さ。どうしようもない、当たり前に人はわかってくれないという感覚は人間愛至上主義社会では教えら...
久しぶりに人間感情にダイレクトに訴えかけてくる本を読んだ。 死への願いは、社会では正当化されない願い。 特にキリスト教圏ではそうなのかもしれない。 自然な願いを悪を用いて否定される事の辛さ。どうしようもない、当たり前に人はわかってくれないという感覚は人間愛至上主義社会では教えられない防衛手段なのかもしれない。 すごく力のある文章だが、フランクルと同じく、結局自分の正義を追求するために他者の否定をしてしまっているので星は4つ。同時実現はできないのだろうか。。。? 苦境の中では正義を追求したくなるものなのだろうか。だとすれば自分を苦しめる者たちと同じ構造になってしまっている、厳しい事をいえば。
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