商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2005/03/16 |
JAN | 9784006020897 |
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- 文庫
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商品レビュー
4.6
7件のお客様レビュー
前巻の終盤、ソ連軍との激しい戦闘が勃発し、激闘の末に多大な犠牲を払った。梶はかろうじて生き残ったが、生き残ったあと、いかにして帰還するのかを下巻では描かれる。これまでとは対照的に、個人の意志によって一つ一つの選択をとり、選んだ末にどのような運命をたどるのかが今回の見どころである...
前巻の終盤、ソ連軍との激しい戦闘が勃発し、激闘の末に多大な犠牲を払った。梶はかろうじて生き残ったが、生き残ったあと、いかにして帰還するのかを下巻では描かれる。これまでとは対照的に、個人の意志によって一つ一つの選択をとり、選んだ末にどのような運命をたどるのかが今回の見どころである。梶は妻の三千子が生きていると信じることで、たとえ周囲からひどい仕打ちを受けたとしても踏ん張った。このように、愛する者の生死が不明であったとしても、生きてると信じることで、必死に生き抜こうとする様子は、なにか輝かしいものが感じられる。 しかし、本作を最後まで読むと、予想よりも不安な空気が漂う。梶は最終的に、本作の上巻、梶と三千子が共に過ごした住処の近辺まで到着した。しかし、その時点で、梶はまともに飲み食いせずに動き続けたことで、息絶える寸前であった。また、梶は村の住民に食物をあてにしたが、リンチにあった。最後は生死不明のまま、雪に埋もれて物語は終了した。
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映画では描かれていない、美千子や沖島のその後も描かれており、物語が複線化している。だんだんと生活が厳しくなっていく敗戦後の満洲に残された人たちと、生き残りロシアの捕虜生活を送る梶の姿が見ていて苦しくなる。最後、梶は倒れ、その上に雪が降り積もるのは映画と同じだが、その向こう側が見え...
映画では描かれていない、美千子や沖島のその後も描かれており、物語が複線化している。だんだんと生活が厳しくなっていく敗戦後の満洲に残された人たちと、生き残りロシアの捕虜生活を送る梶の姿が見ていて苦しくなる。最後、梶は倒れ、その上に雪が降り積もるのは映画と同じだが、その向こう側が見えるのが一層辛さを増す。 最後に梶と思しき人物の略歴のようなものが載せられている。それによれば、生還できたようだが、美千子と会えたかは不明。 リアルな戦争文学として一度は読んだ方がいいと思う。
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ソ連軍の侵攻を受け、国境付近の日本軍は開けなく崩れ去る。敗残兵として逃亡する主人公であるが、おなじ敗残兵である日本人の地元民に対する「火事場泥棒」的な振る舞いが彼らの立場を危うくする。ここでも生き残りをかけ、彼らも盗みや殺人などを犯さざるを得ない。この小説はフィクションであるが、...
ソ連軍の侵攻を受け、国境付近の日本軍は開けなく崩れ去る。敗残兵として逃亡する主人公であるが、おなじ敗残兵である日本人の地元民に対する「火事場泥棒」的な振る舞いが彼らの立場を危うくする。ここでも生き残りをかけ、彼らも盗みや殺人などを犯さざるを得ない。この小説はフィクションであるが、こういう状況がかつて実在し、戦争ではないにせよ、一般社会でも起こっていることから目を背けてはいけないのだろう。
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