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レーモン・アロン回想録(2) 知識人としての歳月
7,260円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房/ |
発売年月日 | 1999/07/23 |
JAN | 9784622038047 |
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レーモン・アロン回想録(2)
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レーモン・アロン回想録(2)
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アロンは広範なテーマに渡って膨大な著作を残したが、邦訳は入手困難なものも多く、「ル・フィガロ」等に書いた時事的な文章は殆ど日本語では読めない。本書ではアロンの著作や発言を年代順に追い、批判者や同調者との異同をアロンとの書簡のやり取り等を交えながら辿ることができる。アナール学派の創...
アロンは広範なテーマに渡って膨大な著作を残したが、邦訳は入手困難なものも多く、「ル・フィガロ」等に書いた時事的な文章は殆ど日本語では読めない。本書ではアロンの著作や発言を年代順に追い、批判者や同調者との異同をアロンとの書簡のやり取り等を交えながら辿ることができる。アナール学派の創始者フェーブル、ナチスの「桂冠法学者」シュミット、アメリカの核戦略を構築したマクナマラ、人類学の巨匠レヴィ=ストロース、中世哲学の権威ジルソン、「デュベルジェの法則」で名高い政治学者デュベルジェ、「革命か反抗か」でサルトルと対峙したカミュ等、錚々たる面々との応酬は極めて興味深い。 論客アロンの名声を高めたのはその比類なき政治・外交分析であろう。国際関係における「力」の役割を重視するアロンは、安易な理想主義を退け、伝統的なリアリズムに立脚して国益を追求した。他方でフランス政治に根強い狭隘なナショナリズムとも一線を画していた。それが最も端的に表れたのがアルジェリア問題と対米関係である。植民地解放という世界の趨勢を見据えてアルジェリアの独立をいち早く容認し、アメリカ抜きで欧州の安全保障はあり得ないとの考えから、アメリカを盟主とする大西洋同盟が不可避であることを説いた。フランスの威信にこだわり独自路線を志向したド・ゴールもアロンの意見を無視できなかった。アロンは国際政治におけるフランスあるいは欧州の地位低下という歴史的現実をクールに見通していた。その判断は大筋において正しかったが、時に国民感情や自らの立場に近い保守派の反発をも辞さず発言してきた潔さはさすがである。 だが何と言っても興味を引くのは若き日の親友サルトルとの対立だ。アロンはサルトルの才能を高く評価しながら、その「実践」とそれを正当化する論理あるいは非論理は全く受け入れなかった。ちなみにサルトルと並び60年代の反抗学生の知的アイドルだったマルクーゼについても何ら独創性はないと一蹴している。「アロンに従って正しくあるよりサルトルとともに誤る方がいい」と言われたように、同時代の影響力はサルトルが絶大であったが、今日振り返ってどちらがまともであったかは火を見るより明らかだ。サルトルの「弁証法的理性」なるものはつまるところ個人の主観性の全体化であり、現実との接点を欠いた極めて非弁証法的な観念論である。歴史の名によるテロルの肯定がどんな結末をもたらしたかは多言を要すまい。レヴィ=ストロースの良き理解者であったアロンは、構造主義の「乗り越え」という鳴り物入りで登場した「新哲学」=ポスト構造主義を殆ど相手にもしてないが、結局それはサルトル流の実存主義の焼き直しに過ぎないことを見抜いていたのだろう。
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