商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 講談社/ |
| 発売年月日 | 1998/02/28 |
| JAN | 9784062637732 |
- 書籍
- 文庫
ワイルド・スワン(下)
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ワイルド・スワン(下)
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商品レビュー
4.5
39件のお客様レビュー
著者にも、下放される…
著者にも、下放される日がついに訪れた。文化大革命の残虐な真実をすべて目撃しながら生き、「野生の白鳥」は羽ばたく日を夢見続ける。
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文革が長引くにつれて…
文革が長引くにつれて、家族はばらばらに。保守的な時代に気丈に生きた祖母、そして共産党員として信念を貫き通し、理想を裏切られ亡くなった父。人民を憎み合わせることにより国を統治した毛沢東の死、4人組の逮捕。激動の時代を生きた3人の女性の生き様が深く心に刻まれる作品でした。
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中国人はこんな歴史を生きていたのか! 中国という国を、教科書程度にしか知らなかった私にとって、この本は本当に驚きの連続だった。事実は小説より奇なり、というがこの本は、フィクションであったらこのようには書けなかったのではないのか、とさえ思わせる。それほど、人間はどのようにもなれるの...
中国人はこんな歴史を生きていたのか! 中国という国を、教科書程度にしか知らなかった私にとって、この本は本当に驚きの連続だった。事実は小説より奇なり、というがこの本は、フィクションであったらこのようには書けなかったのではないのか、とさえ思わせる。それほど、人間はどのようにもなれるのか、と考えさえられる。 毛沢東の「狂気」の共産主義時代を中国の人々がどのように生き抜いたか、もしくは何故、死ななければならなかったかがわかる。 毛沢東の国家統治の手法は、ある意味で巧みである。人民の行動を、心を思想によって支配する。そして、人民同士でお互いの行動を監視させ、共産主義の敵を排除していく。こうなれば、生活の隅々まで監視され、共産主義、毛沢東の一言一句に反する行動をしていたものは必ず告発される。著者が的確に述べているように、それが私怨や怨恨などが絡んで、個人的な恨みをはらす場にも利用されるなどして、その行為は過激さを増す。そうなれば、本当に心安らげる場所もなく、緊張した毎日の連続である。このような国家支配は、軍隊で抑圧するわけでもないのでコストがかからず、ある意味で合理的であるとさえ言えるかもしれない。それは、あくまで毛沢東にとってであるが。しかし、毛沢東個人の保身を第一とした統治が行き着く先はやはり国家、社会の荒廃でしかない。 著者の両親も当初は共産主義の理想に燃え、個人を滅して活動をしていたが、毛沢東の独裁が強まるにつれ、その信念に少しずつ揺らぎが見え始める。著者はまさに毛沢東崇拝の時代に少女時代をすごし、毛沢東を絶対の神のような存在として認識している。しかし、両親が迫害されるのを目の当たりにし、なにかが間違っているのではないかと思い始める。しかし、それが毛沢東の否定につながるまでには多くの出来事を必要とする。どれほど、毛沢東崇拝の思想が人民の心にまで浸透していたかがわかる。 しかし、著者が述べているように、人々は狂気の時代を生き抜くために、心の本心を隠して生きることが身についてしまい、それどころかどれが自分の本心かすらわからなくなってしまっていたのだ。毛沢東崇拝が生き延びる術だったといえる。 印象に残るところ、考えさせられるところはたくさんあったが、著者は、激動の時代を体験し、ひとつの人間観ともいうべきものを述べている。それは、人が人に対して残虐なこと、過酷なことが出来るかどうかである。人民同士が隣人をリンチしたりすることがまかりとおっていた狂気の時代にあって、それを共産主義、毛沢東の名の下で平気に行える人と、そうでない人。 人間の心を捨てた人とそうでない人、と言えるかもしれない。 もし、私がこの時代の中国に生きてたら、どちらの人間になっただろう。
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