商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 吉川弘文館/ |
| 発売年月日 | 1998/11/27 |
| JAN | 9784642027687 |
- 書籍
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日本中世の禅宗と社会
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日本中世の禅宗と社会
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能「花月」に登場する喝食・花月や、「自然居士」に登場する自然居士、暮露暮露という僧(?)について取り扱っている章有り。
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日本の歴史に大きな影響を与えた禅宗を、当時の社会の様相から再検討する。 これは、借りてきていざ読むぞ、となったときは、「卒論を書くのに使えるのか?」と心配になった本だったのだが、読み込むと非常に当時の社会背景がわかったいい本だった。 そもそも、室町時代は幕府の保護で禅宗が腐敗...
日本の歴史に大きな影響を与えた禅宗を、当時の社会の様相から再検討する。 これは、借りてきていざ読むぞ、となったときは、「卒論を書くのに使えるのか?」と心配になった本だったのだが、読み込むと非常に当時の社会背景がわかったいい本だった。 そもそも、室町時代は幕府の保護で禅宗が腐敗しきっていた時代だ、ということは他の本でもさんざん言われていた。 しかし、どうしてそういう状況になったのか? に、いまいち上手い説明がなかった。というより、誰もそこから説明しようとしていなかった。 それがこの本で「あ、なるほど」になった気がする。 ちょっと詳しく説明すると・・・ 室町時代の五山制度は、鎌倉時代にまで起源をさかのぼる。中国の宋時代に行われた中央政権の仏教統制の法制化がもとになっており、これを正式に制度として取り入れたのが室町時代。 これにより、鎌倉時代で五山を頂点とした禅宗と政治の密接な関係が形成される。政治は禅宗の巨大なバックボーンとなり、のちに幕府にとっても、禅宗は重要な財源となる。 しかし、この関係はもともと政治と宗教のギブアンドテイクを画策して生まれたものではなかった。 鎌倉時代は急速に貨幣・交通が発達した時代である。 これらの影響から、禅宗は地域を拡大して発展し、その運営が困難になる。また貨幣の発達により、寺僧の私物化が横行するようになる。これらの解決策としてなされた手段が、寺の制度化だったのである。 ・・・というわけで、最初はこの制度、仏教教団の私物化という社会問題に対処するための有効な手段として機能したそうな。 しかも禅宗内の組織運営は公平の論理に基づいて行われ、幕府の法と禅林の法に支えられ、禅宗内の寺格と昇進は大規模かつ整然と制度化して行われたというのだから、効果は絶大だったみたい。 宗教の官営化、恐るべし。 しかし、あまりに制度化が進んでしまって、それが一休の時代になると完全に形骸化してしまう。 職種や地位に箔がつき、五山官寺僧になることが競望されるようになっていくのだ。 そうした結果が、権力欲、栄利欲は金銭で買えるという認識が広まり、僧たちの宗教者としての自覚が次第に薄まっていくことに繋がった、というわけです。 いやぁ、この流れが知れてよかったよかった。 最初は使えない本かと思ったけど(コラ!)、ちゃんと読み込めばいい本って流れがわかるようになっているんですね。 資料を読んでいて最近思ったのは、知識って「線」にはならない、ということ。 点と点が一本の線で繋がることって、ほとんどない。むしろ、知識は集まると「面」になる。 地図を読むのに似ているかもしれない。ここがこういう地形だから、この道がこうなっているのかぁ、とか、こういう土地だから、ここはこういう交通手段がいいのか、とか。そういうかんじ。 ようやく資料を読むのに慣れてきた・・・かな?
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