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ペンギンの憂鬱
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ペンギンの憂鬱
¥2,640
在庫あり
商品レビュー
4
170件のお客様レビュー
憂鬱症のペンギンと暮らす売れない作家。死亡記事を書く仕事を受けたことで、じわじわと恐ろしいことに巻き込まれているようだ。それでも収入は増え、不穏な状況に目をつぶれば淡々と日常が過ごせているように思えなくもない。 正義なのか犯罪なのかよくわからないまま、「何か」に巻き込まれる感じが...
憂鬱症のペンギンと暮らす売れない作家。死亡記事を書く仕事を受けたことで、じわじわと恐ろしいことに巻き込まれているようだ。それでも収入は増え、不穏な状況に目をつぶれば淡々と日常が過ごせているように思えなくもない。 正義なのか犯罪なのかよくわからないまま、「何か」に巻き込まれる感じが訳者後書きにもあったけど、村上春樹の羊をめぐる冒険に通ずる空気感。 ペンギンのミーシャの存在感が大きくて、愛おしい。 後半は特にザワザワしながら夢中になってすごーく面白かった。
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洋書は苦手意識があったが、これはめちゃくちゃ面白い。けど、難しい。憂鬱症のペンギンと男の人のささやかな日常
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
売れない短編小説家のヴィクトルは、動物園が餌代を払えないためにお払い箱となった皇帝ペンギンのミーシャを引き取ってキエフで暮らしている。新聞の追悼記事「十字架」の執筆記者となり、まだ生きている人物たちのもしもの時に備えて詩的な追悼記事を書き溜めていくが、彼が追悼記事を書いた人物たちは計画的に「処理」されていくようだ。彼自身もよく分からないままに命を狙われ、無自覚のうちに危機をやり過ごし、しかしある日別の男がヴィクトルの「十字架」を執筆していることを知る。そこに記されていたのは、政治的陰謀に加担し、多くの人物の死に関与しながら、最終的に自殺したヴィクトルの一生だった。 心臓病があり憂鬱症のペンギンミーシャについて、ペンギン学者は、本来南極で生きる体の構造になっているペンギンが、全く環境の違うキエフで生きるなら病気になって当然だと言う。解説にもあったが、1996年のキエフは、ソ連から離れたばかりのウクライナが混乱していた時期で、マフィアや犯罪グループが横行していたから、そんな社会不安もあるんだろう。が、ほのぼのしてるように見えて展開がホラー。鍵変えても誰かが夜中に家に侵入してきているようだとか、突然友人が4歳の娘ソーニャを預けにきてサンタさんとしてピストルと多額の現金を置いていくとか、知らない男が自分の愛人に近づいて自分のことを根掘り葉掘り聞いているとか、全体的にじわじわ怖い。あと謎にペンギンを葬儀に連れて行きたがる謎の男リョーシャも怖い。その葬儀は、ヴィクトルが十字架に書いた人たちのものだったと最後にわかるのも怖い。ペンギンがインフルエンザになって、心臓移植が必要で、4歳の子供の心臓でなければいけない、って言われたあたりで、ソーニャの心臓が移植される線かと思ったら違ってよかった。南極にミーシャを送り返す手筈を整えていたヴィクトルが、最後に一人で南極大陸委員会の人に会って「私がペンギンです」って言う結末が思いも寄らなくて、喜劇的で好きだ。ヴィクトルを殺すためにミーシャの病院で待ち構えていた人たちは拍子抜けしただろう。 ミーシャがかわいくて、私もペンギン飼いたい。うちの皇帝ペンギンの等身大のぬいぐるみにミーシャって名前つけようか。
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