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消去(上) Lettres
3,080円
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | みすず書房 |
| 発売年月日 | 2004/02/10 |
| JAN | 9784622048695 |
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消去(上)
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商品レビュー
4.7
6件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1986年に刊行された著者最晩年の小説。語り手フランツ=ヨーゼフ・ムーラウはオーストリアの地主出身のドイツ文学者で故郷を離れてローマで生活している。彼は教え子のガンベッティに課題図書を与え自宅に戻ると両親と兄の死を知らせる電報を受け取り……。 こういう本を読んで何かを書けるのは学者さんとか読書マニアさんくらいなもんで、あたしは一体どうしようと悩み中、ってのは半分ウソで、この本を50ページくらい読んだ段階ですぐに浮かんだのはあるエックスでのやりとりで。 まぁそれ自体がツリというか出来レースだったのかもしれないけれど、あるキチンとした人がオーストリア(在住されてたんですかね?)のことについてけっこうちゃんと書いてらっしゃったんですね。そこにある人が「オーストラリアな」ってコメントしたんですね。そのときあたしは「ああ」って思ったわけですが、いまこの『消去』を読んでまた「ああ」と思ったのでした。そしてトーマス・ベルンハルトの「そらみたことか」って声を聞いたような気がしたと同時に、皮肉にもベルンハルトはその目論見を成功させてしまったのではないかと思ったのでした。 《私の頭に最終的に残っている唯一のものは、と私はガンベッティに言った、「消去」というタイトルだ。というのも私の報告は、そこに描写されたものを消去するために書かれるからだ。私がヴォルフスエックという名で理解しているすべて、ガンベッティ君、私の言っていることが分かるかね、本当にそして実際にすべてを消去するために書くのだ。この報告の後には、ヴォルフスエックであるものすべてが消去されていなければならない。私の報告は消去以外の何ものでもないのだ、と私はガンベッティに言った。私の報告はヴォルフスエックをあっさり消去する》
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オーストリアの地主一族である家族を厭い、ローマで暮らすムーラウ。家族の死を知らせる電報が届き、彼は故郷で葬儀に参列する――起きる出来事はそれだけで、物語の主体は改行なく繰り返される故郷への呪詛。重苦しくはなく、不思議に透徹した空気が漂い魅力的。 自己を生んだ世界を否定し消去したい...
オーストリアの地主一族である家族を厭い、ローマで暮らすムーラウ。家族の死を知らせる電報が届き、彼は故郷で葬儀に参列する――起きる出来事はそれだけで、物語の主体は改行なく繰り返される故郷への呪詛。重苦しくはなく、不思議に透徹した空気が漂い魅力的。 自己を生んだ世界を否定し消去したいと願うムーラウの、その前提にある世界の本質的な美しさを愛しむ気持ち。自分を否定し排除した家族を憎む言葉の、その根底に覗く家族に愛され受け入れられたかった子供の寂しさ。消去を求める呪詛は再生への祈りでもあって、だからこそ重苦しさではない何かが残る。
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あのアゴタ・クリストフが「偉大な作家」と呼びそのユーモアへの賞賛を惜しまないオーストラリアの出身の作家、トーマス・ベルンハルトの代表作。ユーモアと言ってもそれは東欧特有の笑うに笑えない黒いユーモアであり、本作では故郷への嫌悪と家族への怨嗟が強迫観念を具現化したかのように改行も挟ま...
あのアゴタ・クリストフが「偉大な作家」と呼びそのユーモアへの賞賛を惜しまないオーストラリアの出身の作家、トーマス・ベルンハルトの代表作。ユーモアと言ってもそれは東欧特有の笑うに笑えない黒いユーモアであり、本作では故郷への嫌悪と家族への怨嗟が強迫観念を具現化したかのように改行も挟まず繰り返し繰り返し語られる。家族の死を契機に溢れ出る呪詛は己の矮小さの裏返しであると同時に、割り切れぬ不条理に対する足搔きでもある。下へ下へと落ちていく負の重力に抗えぬ身を嘲笑う、これもまた語ることの快楽の一つのあり方。
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