商品詳細
内容紹介 | 内容:潜りさま. 旅マタギ. メリイ. モウレン船. 御犬殿. オカミン. [ヒラタ]船. 皆白. 川崎船 |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社/ |
発売年月日 | 2004/12/20 |
JAN | 9784087477641 |
- 書籍
- 文庫
山背郷
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
山背郷
¥660
在庫なし
商品レビュー
3.8
22件のお客様レビュー
自然と共に生きたマタ…
自然と共に生きたマタギや潜水夫などの職業人の生き様、死に様などを、堅いタッチで描く短編集。現在の都会のサラリーマンとは全く異なる生のあり方に、自分の甘さを改めて感じさせられる。
文庫OFF
熊谷達也『山背郷』(集英社文庫、2002年)は東北地方のマタギや漁師、川船乗り、潜水夫らを描いた短編小説集。山背は東北地方で春から夏に吹く冷たい東よりの風を指す。この山背が吹く厳しい自然の中で暮らす人々を描く。 「川崎船」は戦後すぐの青森県下北郡脇野沢村のタラ漁村を描く。タラ漁の...
熊谷達也『山背郷』(集英社文庫、2002年)は東北地方のマタギや漁師、川船乗り、潜水夫らを描いた短編小説集。山背は東北地方で春から夏に吹く冷たい東よりの風を指す。この山背が吹く厳しい自然の中で暮らす人々を描く。 「川崎船」は戦後すぐの青森県下北郡脇野沢村のタラ漁村を描く。タラ漁の場所取りは迫力がある。集英社文庫編集部編『短編工場』(集英社、2012年)にも収録された。 川崎船は沖合漁業に利用した比較的大型の漁船である。江戸時代から使われている。蟹工船に付属する発動機付小型漁船も川崎船と呼ぶが、それとは異なる。後者の川崎船は小林多喜二『蟹工船』にも登場する。そこから「川崎船」も『蟹工船』のような話と先入観を持つかもしれないが、異なる。 主人公の少年は漁船の機械化を目論むが、昔気質の父親に拒否される。頭の固い父親と思っていたが、鮮やかなどんでん返しになった。父親への疑惑、漁師として一人前になること、ライバルとの対立、恋の成就などが物語の主軸になるかと思いきや、見事に裏切られた。しかも、全体に予想できないオチではなく、きちんと前もって結末の可能性は語られていた。無骨な人々の物語であるが、小説の書き方として洗練されている。 村の中の人間関係の確執はもっと根深い話になると思ったが、尾を引かずにサッパリしている。厳しい自然の中で生きる人々は、そのようなものだろうか。しかし、これは小説の主題ではなかったということで、現実の昭和の村社会は陰湿なところがあるだろう。 父親と息子の対立は大塚家具など同族企業の経営方針の対立に重なる。息子は先を見ているように見えるが、直近の目の前のことしか見ていなかった。父親の方が先の先を見ていた。借金して過大な設備投資をしたが、好景気が続かず、借金だらけになり、借金を返すために事業を続けるような事業者は日本に多い。
Posted by
短編集。昭和20年代の東北を舞台に、山だ海だの自然の中で生きる人々の営為。家族愛を描く作品多し。 抒情的な少年時代の回想「メリイ」 ホラー味の「モウレン船」 直球勝負でイイ話の「川崎船」 自分が読んだ作家との比較で言うと、ジャック・ロンドンを思い出す(特に「旅マタギ」とか)。
Posted by