商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社/ |
発売年月日 | 2004/10/30 |
JAN | 9784488711023 |
- 書籍
- 文庫
万物理論
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万物理論
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商品レビュー
4.1
57件のお客様レビュー
アイデアは興味深いと…
アイデアは興味深いとは思いますが、小説として面白くないのではだめです。各種のエピソードが錯綜していて非常に読みずらい作品でした。
文庫OFF
こないだからちまちま再読していたのをやっと読了。やっぱ難しい。 最初に読んだときに、これは「物理学を中心とした科学による(世界認識の方法としての)宗教の再定義」なのじゃないかと思ったのだけど、読み直してみると作中で人間宇宙論者のひとりが「宗教じゃない、宗教じゃない」としつこく念を...
こないだからちまちま再読していたのをやっと読了。やっぱ難しい。 最初に読んだときに、これは「物理学を中心とした科学による(世界認識の方法としての)宗教の再定義」なのじゃないかと思ったのだけど、読み直してみると作中で人間宇宙論者のひとりが「宗教じゃない、宗教じゃない」としつこく念を押していて、これって作者のメッセージなのかなあという気もしてきた。とはいえ「万物理論を完成して宇宙を完全に説明する人間」というのは容易に宗教的な預言者を連想させるし、そこで説明された宇宙で生きる人びとを、ある世界観に帰依する信仰者になぞらえてまずいことは特にないと思う。問題があるとすれば、いくつかの「万物理論」の仮説のうち正しいものは一つだけのはずで信教の自由が認められないということだけど、それにしたって宗教も本来そういうものだったわけだし。面白いのは、「完全な記述者=基石」の出現の時点から前後左右にーー時間的に遡って染み出すようにーー宇宙が確定していくというイメージで、その発現のひとつの形が「ディストレス」という病気だというアイディアが卓抜である。 また誰もが言うように、この作品の魅力(と手強いところ)のひとつは、まさに大量にぶちこまれたSF的なアイディア・ギミック・ガジェットであって、本筋に関係あるものもなさそうなものもとりまぜてとにかく膨大で、それを書き出すだけで大変な労力が必要になるだろうけど、今あらためてそれをやりたくなっているのだった。そのうちのいくつかはたぶん作者本人が「早くこういうのできないかなー」と思っているものだろうし、ステートレスという「国家ならざる国家」をまさしく彼は切望しているに違いないと思っている。ていうかそういう国に私も行きたいわ。
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実際に情報と物理のアレコレでああなるかはさておき、ACの発想自体は馬鹿げたものではない。また、たしかに皆さんが言う扱っているテーマの手応えというか実在感はすごく、それはこの物語の魅力の一つである。 しかしなんと言っても、この物語の凄さの核心は、宇宙そのものを独我論に落とし込んでい...
実際に情報と物理のアレコレでああなるかはさておき、ACの発想自体は馬鹿げたものではない。また、たしかに皆さんが言う扱っているテーマの手応えというか実在感はすごく、それはこの物語の魅力の一つである。 しかしなんと言っても、この物語の凄さの核心は、宇宙そのものを独我論に落とし込んでいることである。真の〈私〉、真のcogito ergo sum、それから導かれる「他者」の存在。これが理解できている(というよりかは体感している)人にとっては、「基石」が何であり、それが作中にあるように、精神を持つもの全体が対象とされなければならない理由、また作中の、「ひとつの精神が、それひとつきりで、別の精神を説明することで存在させられるものだろうか?」という問いが発せられた理由、そしてその答えを理解することができるであろう。
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