刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史 新潮文庫

佐々木嘉信(著者), 産経新聞社(編者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社/
• 発売年月日: 2004/12/01
• JAN: 9784101151717

商品レビュー

2019/03/19

刑事一代　平塚八兵衛の昭和事件史

[ohka]

この刑事さんのことは、昭和の事件の折々、週刊誌等で知っていました。当時の昔風な名前が残っていた中でも、ちょっと変わっていて、”八兵衛”さんですから。特に誘拐事件では、日本中にｄ名をはせられました。自分も誌面をうっすら覚えています。聞き書きの形でまとめられた貴重な一冊、著者に敬意を表します。とても面白いです。自分の命を（中途で殉職されず、定年まで勤務された）捜査一筋に捧げ切り、燃え尽きられた、人間として実に見事な一生…。平塚さんは骨太のがっしりした、健康に恵まれた体を想像するのですが、退職されてからほどなく逝去されています。過酷なまでに仕事に入れこむことがなければ、もう10年はゆっくりできたと思うと、現役中の犠牲の深さがしのばれ、本を閉じて、思わず合掌しました。

2019/01/01

鬼の八兵衛の名言
「組織にのっかると肝心のホシ（犯人）を追うのを忘れて、肩のホシ（階級章）ばかり増やすことを考えるのさ。デカが肩のホシを追うようになったら、おしまいさ。」

2016/11/10

昭和の大事件である吉展ちゃん誘拐殺人事件、帝銀、下山、三億円等々手掛けてきた平塚刑事への聞き書き集。

平塚氏の語り口調になっていて読みやすいものの、内容が濃いのでじっくり読ませます。
地道な捜査と経験に裏打ちされた平塚氏の強靭な仕事ぶりは、どこかでマイナスの部分もあったかもしれないけれど、読み手に訴えてくるものは強くあります。
占領下の日本で強いられた苦労なども少し読めますが、それを知るだけでも読む価値はあると思いました。