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小池昌代詩集 現代詩文庫174
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 思潮社/ |
発売年月日 | 2003/12/25 |
JAN | 9784783709497 |
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小池昌代詩集
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商品レビュー
4
3件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小池昌代さんが編まれたアンソロジーは、今までに何冊か拝読しましたが、御自身のまとまった詩集を拝読したのは、本編が初めてです。 なにげない、日常にある光景、少しだけ非日常の情景などを切り取るのが非常に上手いと思いました。 切り取って何か意味のあるものへとぐいぐいと移行していかれ何かそこに物語が生まれている。 まだ、寒さ厳しい立春を過ぎたばかりだけど、日が長くなってきたことが感じられる午後の穏やかな薄曇りの光の差す中で、誰もいないところで、ひとり静かにひっそりと読みたい、そんな詩集でした。 作家の角田光代さんが巻末に寄せていらっしゃる文章に「小池さんの詩を初めて読んだとき、難解だ、と私は思った。なんて難解な、詩らしい詩なのだろう、と」という部分がありますが、同様に思いました。 「蜜柑のように」 さよなら と言ってドアに手をかける と あのひとが 蜜柑をひとつポケットに入れてくれる あくまでも わたしにではなく ポケットに 蜜柑のおもさ それはしなびた蜜柑だったから わたしはすぐに忘れてしまう しかし、さむい二月の夜 さむい冬の夜道を歩くと 大きめのオーバーのポケットの底 蜜柑が足にうるさくぶつかるので わたしはこの果物の存在をおもいだし 帰りぎわのあのひとのしぐさをおもいだす あくまでも わたしにではなく ポケットに… とおまわりした気持ちがようやく届いて うれしいとおもう わたしの遅さ 蜜柑一個 わたしたちはいつも それぐらいの何かを欠いて生きている やさしさは異物感 ごつごつして見慣れない固まり 辺鄙な場所へ落ちた、とおくからの届け物 深いポケットに指をのばして わたしはおそるおそる蜜柑に触れる ひんやりした この夜の 夜気よりも冷えたすこやかな固まり 誰のものでもない、この固まりを 蜜柑のように 無造作に ポケットの底に ころがして歩く 理解が追いつかない作品もありましたが、他では、 「こども」「空豆がのこる」「夕日」「吉田」「おんぶらまいふ」も好きでした。
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目や耳でとらえた感覚から感情を呼び出すのがとてもうまい。それから、だんだん抽象的な名前や概念から景色や思いを呼ぶのが得意になっていく。精神を介して身体と詩が一続きになって、交互に行き来する感じ。走ることもなくて、ていねいに言葉をつないでいく。
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ワンフレーズ、一行、たったひとつの単語でも こんなものが自分の中から出てきたら 嬉しくって小躍りしてしまうんじゃないか、というくらい 妬ましいほど素敵な言葉が並んでいて キラキラしているのでも眩しいのでもないのに なぜか眼を細めてしまうような言葉が並んでいる。 例え...
ワンフレーズ、一行、たったひとつの単語でも こんなものが自分の中から出てきたら 嬉しくって小躍りしてしまうんじゃないか、というくらい 妬ましいほど素敵な言葉が並んでいて キラキラしているのでも眩しいのでもないのに なぜか眼を細めてしまうような言葉が並んでいる。 例えばそれは、ロラン・バルトみたいなキラキラさではなく 世界への視点も全然違っていて たぶんこの人は回転しないひとつの視点を持っていて まっすぐまっすぐそこから、見ているのかもしれない。 風が通り抜けるみたいに言葉が通り抜ける、そんな軽やかさもあって 気づくと「好きだ、好きだ」と言う自分の声と一緒に読んでいる そんな不思議な詩がつまっている、薄い本。
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