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完全なるワーグナー主義者
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完全なるワーグナー主義者

ジョージ・バーナード・ショー(著者), 高橋宣也(訳者)

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完全なるワーグナー主義者

2,640

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新書館/
発売年月日 2003/12/05
JAN 9784403240515

完全なるワーグナー主義者

¥2,640

商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

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2013/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ワーグナーの「ニーベルンクの指輪」の哲学的な解釈ともいうべき解説書です。登場人物が表す象徴的な意味合いが面白いですが、特に興味を覚えたのが、アルベリヒが愛を捨てて、金銭を求めることに徹した姿。ファフナーが財産を有効活用できずに他から守ることにのみ人生を捧げた姿。ヴォータンは資本主義の親玉でジークフリートは無政府主義者バクーニンという対立関係。「指輪」を過去の童話でも、哲学でもなく、社会主義者による現在に通じる皮肉とでもいうべき解釈でした。「指輪」の成立ち順は脚本が神々の黄昏⇒ジークフリート⇒ワルキューレ⇒ラインの黄金であるのに対して、作曲はその逆。そのために『神々』はオペラ的であるという説明はなるほどという気がします。ワーグナー主義者であるショーのやや理屈っぽい評論ですが今でも内容に新鮮さを感じました。

Posted by ブクログ

2013/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

クラシック音楽もたまには聴くが、よい聴き手かどうかは自信がない。好みが偏る上に、気分転換を目的として聴いたりする勝手な聴き手だからだ。おまけに、音楽理論に疎く、理解という点では本を読むようにはいかない。それでも、好きかと聞かれたら好きだという程度には聴く方で、マーラーのようにお気に入りの作曲家もいる。 首相とちがってオペラが苦手で、管弦楽曲中心だが、その中でワーグナーだけは例外で、バイロイト音楽祭における「指輪」連続上演はVTRに録画して楽しんでいる。近年の舞台は、演出家の解釈によって装置や衣裳も現代化され、所謂オペラとはちがうワーグナー独自の楽劇ならではの趣向が楽しめることも、「指輪」を好む理由の一つだが、音楽は別として、豪華な舞台衣裳や装置を別とすればオペラにはこれといったストーリーがないのに比べ、「指輪」には伝説その他からの引用を含む多様な人物の性格や葛藤があって、話自体が起伏に富んでいて面白い。ワーグナーの楽劇を好む二つ目の理由である。 『完全なるワーグナー主義者』は、音楽評論も書いているショーの「指輪」論である。もっとも、どちらかといえば、音楽論というより文学論的であって、音楽に詳しくない者にもついてゆける内容となっている。ショーの論を簡単に言えば、『ニーベルングの指輪』四部作は、資本主義化が進行していた19世紀西欧社会を描いた寓話だということになる。 ショーが漸進主義的な社会主義者の集団であったフェイビアン協会に属していたことはよく知られている。また、皮肉屋で辛口の警句を吐くことでも有名な彼は、一方でエロス的な価値観に背を向けていたことでも有名であった。美貌で知られた女優に「あなたの知性とわたしの美貌が一緒になったらどんな素晴らしい子が生まれるでしょうね」と、言われ、「貴方の知性のなさとわたしの醜さを併せ持った子が生まれたら悲劇でしょうな」と言ったという逸話が残っているほどだ。 その反エロス的傾向は、「指輪」理解にも色濃く反映している。ジーグフリートとブリュンヒルデの愛についてはほとんど言及されることもない反面、言説を駆使し空虚な世界を現出するローゲについての言及は多い。また、四部作の完結編とも言える『神々の黄昏』を、オペラ形式への退行であるとして他の三作より低い評価を与えている点など、毒舌家として知られるショーならではの挑発的な見解が見られるのも楽しい。 大英図書館で、毎日同じ席に陣取ってマルクスの『資本論』と、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』のフル・スコアを並べて、代わる代わる読んでいる若き日のショーを、ある演劇批評家が記憶している。膨大な読書量と、音楽的素養をともに併せ持つショーのワーグナー論だから面白くないわけがないが、特にそれぞれの登場人物たちが寓意する階級とその働きを読んだ後は、もう今までのように北欧神話やゲルマンの伝説を下敷きにした物語とは思えなくなってしまう。「ジーグフリート=バクーニン」とさえ表記されるのである。 ナチスとの関係からイスラエル交響楽団がその演奏会でワーグナーの曲を演奏するということが賛否両論を巻き起こすほど、政治的な話題に事欠かないワーグナーだが、かつて、革命を志し、バクーニンともう一人の同士と共に追放された経験を持っていたとは知らなかった。「革命家ワーグナー」が書いた「指輪」四部作が、何故『神々の黄昏』で、ただのオペラに堕してしまったのかという理由も、作曲家の人生と重ね合わせたとき見えてくる。ワグネリアンならずとも、楽しめる一冊である。特に音楽には詳しくないが、音楽は好きという人にお勧めしたい。

Posted by ブクログ

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