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ジェノサイドの丘(下) ルワンダ虐殺の隠された真実
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ジェノサイドの丘(下) ルワンダ虐殺の隠された真実

フィリップ・ゴーレイヴィッチ(著者), 柳下毅一郎(訳者)

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ジェノサイドの丘(下) ルワンダ虐殺の隠された真実

1,760

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 WAVE出版
発売年月日 2003/06/23
JAN 9784872901597

ジェノサイドの丘(下)

¥1,760

商品レビュー

4.4

11件のお客様レビュー

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2017/09/12

有象無象、玉石混交入り乱れる情報過多の現代を生きる私たち。その字面だけを見ると、どちらかというとネガティブな印象を受ける。でも、本作で描かれたジェノサイドの悲劇は、SNSも発達した今なら、もっと防げた気がする。国連っていう壮大な話になると、どうしても小回りが効かないんだろうし、大...

有象無象、玉石混交入り乱れる情報過多の現代を生きる私たち。その字面だけを見ると、どちらかというとネガティブな印象を受ける。でも、本作で描かれたジェノサイドの悲劇は、SNSも発達した今なら、もっと防げた気がする。国連っていう壮大な話になると、どうしても小回りが効かないんだろうし、大きな組織ならではの”責任を取りたくない個々人”問題も浮上してくることだろうし。それより、聞こえるか聞こえないかの小さい声が寄り集まった力の方が、こういう悲劇には強いと思えるのです。責任の在り処をいかにうやむやにするか、ってことにかなりの情熱を持っていかれた感があるこのジェノサイド。やるかたない気持ちの中、ネットワークのあり方をつらつら考えていた次第です。

Posted by ブクログ

2015/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ルワンダ大虐殺に至る経緯と実際に起きたことを記録した上巻に続き、下巻では冒頭から、ルワンダから逃れたジェノサイド当事者たちの足取りについて触れられている。ツチ族を殺害したフツ族至上主義者たちによる政党の結成や、彼らが国際社会にうまく取り入り、必要な支援を引き出していったことも明らかにされており、当時の国際援助機関の限界、もしくはある種の敗北と言ってもいい動きを知ることができる。 中盤では、国際赤十字スイス代議員の「人道援助がそれを造りだしている政治的効果の煙幕となり、政府がその裏に隠れて援助を政策の道具として使うようになったら、我々もまた紛争の当事者と見なされるようになる」(131ページ)という言葉が紹介されている。この言葉、そっくりそのまま「ISILと戦うアクターのために資金援助をする」などと脳ミソお花畑な公式会見を世界中に流してくれた某総理大臣にプレゼントしてあげたいところ。 ここに陥らないようにするため、国際人道支援機関は いずれのアクターにも肩入れしない「中立性」を原則としているが、この当時は必ずしもそれが実現できていなかったことが、この言葉から伺える。 著者は「古い世代のアフリカの解放とは、即ちヨーロッパ帝国からの解放であった。しかし1980年から90年代のアフリカ大陸の人々にとっての解放とは、同じアフリカ人による独裁からの解放を意味している」(58ページ)と書いている。 実際、ルワンダの混乱が波及したこともあってかザイールのモブツ政権は崩壊し、コンゴ民主共和国が復活した。しかしこの際、アフリカ諸国は国際社会によるコンゴでの虐殺調査団の介入を拒否した。ルワンダでのジェノサイドを「無視」した国際社会が、自分たちの土地にのうのうと入り込んでくるのを感情として拒否したのだろう、と著者は読み解いている。 「アフリカ人が勝手に自立しようとしている危険な発展はつぶしちまえ、ってことなんだよ」というルワンダのカガメ大統領の言葉(224ページ)は、非常に端的に国際社会において「支援をする側」に立つ者の傲慢と偽善を言い当てている。 ルワンダ虐殺から21年が経つ今、当時のカガメ大統領のこの言葉を改めて見直し、何ができるか(あるいは外部者として、知ることは続けつつもあえて余計な手出しはしないのか)を考え、内省し、質すべきを質す時期に来ていると思う。やや飛躍するが、その視点を持たない限り、世界で起きている戦争や紛争の解決の糸口も掴めないのではないだろうか。

Posted by ブクログ

2013/07/19

「政府とはつまりお医者さんと同じで、殺す時もある、助けられない時もある、助ける時もある。」 まずジェノサイド、次にその報復。それだけのことなら、国際社会に無視されたのも当然だったろう。 しかし、本当にそんなにも愚かしく単純なものだったのか? 植民地時代以前の不平等、以降の二極化...

「政府とはつまりお医者さんと同じで、殺す時もある、助けられない時もある、助ける時もある。」 まずジェノサイド、次にその報復。それだけのことなら、国際社会に無視されたのも当然だったろう。 しかし、本当にそんなにも愚かしく単純なものだったのか? 植民地時代以前の不平等、以降の二極化、革命、経済崩壊、政治的混乱、戦争、極端な貧困、無知蒙昧と恐怖、外の世界の無関心。それだけの材料が揃えばジェノサイドはいつ起きてもおかしくなかった。同時に全くおこる必要などないものだった。そしてそれ以降、そのことについて考えることを選んだ人にとっては、世界はそれまでとは異なる場所となった。 ジェノサイド以降、地獄の辺土と化したルワンダの恐怖、不安、同情、憤怒。百万もの死者のかたわらで生きねばならない人々が、いかにしてそうするか。名もなき被害者と名もなき殺人者たちのその後。 これは物語ではなく現実で、戦いは今も続いている。単純に被害者と加害者を分別する事もできない。 たやすくハッピーエンドを迎えることなどできない。

Posted by ブクログ

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