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心やさしく

ロバート・コーミア(著者), 真野明裕(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 徳間書店
発売年月日 2002/06/30
JAN 9784198615352

心やさしく

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商品レビュー

3.6

8件のお客様レビュー

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2017/09/30
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次々に仕事と恋人(みんなろくでなし)を替える母に育てられた、体は発達しているが、心は無邪気さと幼さをまだ残している15歳の少女と、シリアルキラーの18歳の少年。この二人が出会って旅をする。設定がかなり危ういのだが、ギリギリのところでやはりYAだなあと思わせる。 少女が、普通の男が劣情を抱かずにいられないようなルックスでありながら、性的には放埒ではないこと。 少年の殺しの場面は詳しくは描かれないこと。 そして何より、少年がもしかしたらこれからはまっとうな人生を送れるような、大きな変化があったのではないかという期待を抱かせる終わり方をしていること。 少年も母から異常な愛情を受けて育ち、まともに人を愛することができず、母に似た女性を殺すことで、やさしさを感じる異常性欲の持ち主なのだが、シリアルキラーはこんな少年だったのかもしれないというリアリティがある。そして、その性癖は治すのが不可能ではないのだと考えるのがコーミアのやさしさなのかも。それには犠牲が必要だったのだが。 少女ローリが、母の恋人からいやらしい目で見られ、これ以上母といたらやっかいなことになると感じて家出するシーンが切ない。 やっかいなことというのは、もちろん自分の身に危険が及ぶということもあるが、母の恋人が自分を好きになって、母が彼女を、娘としてではなく恋人を横取りした女として憎むことを恐れたのだし、憎まれることがイヤだというより、母を恋に狂った惨めな女にしたくないという思いやりすら感じるところが悲しい。きっと何度もそういう経験を15歳にしてしてしまっているのだ。 恋愛ではないけれど、少年と少女に奇妙な愛情関係があったのは確かで、それは二人が今まで親に求めても決して得られなかったaffectionだったのかもしれない。

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2015/09/17

「やさしさ」を求めた2人の物語。両者とも難しい境遇のなか育ち、やさしさを求めていた。 絶対あなたを裏切ったりしない。 あたしのこと愛して、エリック。 エリックは純粋な愛情を知れた。ローリの顛末は別として、その点は良かったのかなあ…。 湖のなか沈んでいったローリを何度も潜って探...

「やさしさ」を求めた2人の物語。両者とも難しい境遇のなか育ち、やさしさを求めていた。 絶対あなたを裏切ったりしない。 あたしのこと愛して、エリック。 エリックは純粋な愛情を知れた。ローリの顛末は別として、その点は良かったのかなあ…。 湖のなか沈んでいったローリを何度も潜って探しに行く場面は辛かった。ふたりとも、わかりかけていたのにね。

Posted by ブクログ

2013/04/21

私的さよなら子ども図書館フェア第2弾。 美しい笑顔で周囲の人をたやすく魅了するが、「やさしさ」を感じられる瞬間を求めて殺人をくりかえす少年と、豊満な体に子どもっぽい心をもち、無邪気に愛情を求める少女。2人の出会いは最初から悲劇に至るほかないように思える。しかし、感情のない悪魔だと...

私的さよなら子ども図書館フェア第2弾。 美しい笑顔で周囲の人をたやすく魅了するが、「やさしさ」を感じられる瞬間を求めて殺人をくりかえす少年と、豊満な体に子どもっぽい心をもち、無邪気に愛情を求める少女。2人の出会いは最初から悲劇に至るほかないように思える。しかし、感情のない悪魔だと刑事に評される少年のかたくなに完結した世界は、少女によってしだいに揺り動かされ、もろさがあらわになってくる。もしかしたら、2人はこれまでとは違う方法で、それぞれが求める「やさしさ」にたどり着くことができるのかもしれない・・・そう思えてきた矢先に悲劇は起きてしまう。ラストに救済はないけれど、予感のようなものが漂っている。2つの不安定な心の出会いから生まれた、可能性とさえ呼べないような、方向のさだまらない何か。見えかけた瞬間に消えてしまったものの感触がせつない。

Posted by ブクログ

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