思想史のなかの科学 平凡社ライブラリー430

伊東俊太郎(著者), 広重徹(著者), 村上陽一郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 平凡社
• 発売年月日: 2002/04/10
• JAN: 9784582764307

商品レビュー

2025/02/15

科学の定義と進化
- 科学のメカニズム: 現代の科学は、個人の自由な探求から、機構（メカニズム）、組織、体制に基づくものへと変化している。
- 個人の探求からの変化: 17世紀から19世紀にかけて科学は個人の知的探求であったが、20世紀以降、経済的、社会的、政治的要因が科学の進展に強く影響を与えるようになった。

科学と自由
- 科学者の自由の懸念: 今日の科学では、科学者が自由に研究を行える環境が整っているのか疑問視されている。
- 社会との相互作用: 科学技術の進歩が必ずしも善であるか、またその影響をどのように評価すべきか、再考が必要とされる。

科学の懐疑と批判
- 反科学運動の台頭: 科学の進歩に対する懐疑が高まり、特に若い世代が科学に対して楽観的な見方を持てなくなっている。
- 科学の本質的再検討: 科学の本質を理解するためには、過去の科学の進展や、それがもたらした影響を真剣に見直す必要がある。

科学の社会的構造
- 知的制度と社会的制度の影響: 科学研究は知的な制度だけでなく、社会的・経済的な制度にも影響され、問題選択や解決方法がそれらの影響を受ける。
- 科学の体制化: 20世紀以降、科学は巨大なメカニズムに組み込まれ、科学者はその枠組みの中で研究を行うことを余儀なくされている。

自然と科学の関係
- ギリシャ哲学と近代科学の違い: ギリシャ時代の自然観は、自然が生命を持つものとして捉えられていたが、近代科学では非人間化され、数学的な分析が主流となった。
- 自然観の変遷: 科学は、神が創造した異質な存在としての自然を扱うようになり、自然を目的や意識のないものとして捉える傾向が強まった。

近代科学革命
- 科学革命の要因: 近代の科学革命は、古代のアリストテレス主義を克服し、新しい知識体系を確立する過程であった。
- 新しい物理学の形成: ニュートンの力学や相対性理論など、近代における物理学の発展は、科学の基盤を根本的に変化させた。

現代文明と科学の関わり
- 科学の価値中立性の問題: 科学が社会に与える影響が大きくなる中で、科学の価値中立性について再考する必要がある。
- 科学技術への批判的視点: 科学技術のネガティブな側面が強調される中で、それに対する誤解や短絡的な見方が存在している。

2018/06/18

これまで学んだ高校の「世界史」、大学の「科学史」・大学院での「科学技術リテラシー論」の中では、これらの科目の性格上、科学史分野のごく一部が扱われるにとどまっていた。本書は、基本的な科学史の通史的な入門書といえる。古代オリエントの科学から今日の科学技術政策の流れが、文庫本1冊に凝縮し説明されている。

2014/04/04

　自然哲学とも呼ばれる科学がなぜ今日これほど成功し浸透したのはなぜか。また問題はなぜおこるのか。そんな疑問から本書を購入。
　科学がどのように思想によって育まれ、また巣立っていたかがわかる。でも思想哲学からあまりに遠くに飛んでいって良いのだろうか。
　今日科学は哲学を必要としているように思う。しかしそれは科学を捨てることを意味しない。人間はもはや文明の外では生きられない。決意のための哲学を。