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ファイル 秘密警察とぼくの同時代史
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ファイル 秘密警察とぼくの同時代史

T・ガートンアッシュ(著者), 今枝麻子(訳者)

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ファイル 秘密警察とぼくの同時代史

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2002/05/10
JAN 9784622048633

ファイル

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商品レビュー

3.5

3件のお客様レビュー

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2020/06/15

他の本でシュタージに強く興味を持ったので、読み始めた。 シュタージによる作者に関する記載から本は始まる。その記録はどこで何をしていたかが鮮明に書かれ、その人の思想だけでなく、行動も細かく記録していたことに驚かされた。 また、その作者を記録したシュタージへのインタビューはそれぞれ...

他の本でシュタージに強く興味を持ったので、読み始めた。 シュタージによる作者に関する記載から本は始まる。その記録はどこで何をしていたかが鮮明に書かれ、その人の思想だけでなく、行動も細かく記録していたことに驚かされた。 また、その作者を記録したシュタージへのインタビューはそれぞれ非常に興味深いく、シュタージへの協力への意見や、その姿勢を見ると、ヒトラー下のドイツ人と何も変わってないのではないかとも感じられた。 本の随所に出てくる、シュタージへの情報提供者の正体に関する記載を読むと、人間不信や家族崩壊、社会的な信頼の失墜が戦後の東ドイツでは当たり前だったことがよく理解できる。 生活や発言を監視し、時には人生をねじ曲げる行動を行うシュタージの存在も、ナチス同様にドイツの忘れてはならない歴史として、語り継いでいく必要があると感じた。

Posted by ブクログ

2007/01/25

鬱々たる気分になる本ではあるが、ドイツという国の徹底さ加減を知らされる。 東ドイツの秘密警察シュタージによって作られた、イギリス人歴史学者であり同時にジャーナリストでもある著者のファイルを本人が入手し、それを元に東ドイツがどう世界を捉えていたのか、それが情報公開されて今何が起きて...

鬱々たる気分になる本ではあるが、ドイツという国の徹底さ加減を知らされる。 東ドイツの秘密警察シュタージによって作られた、イギリス人歴史学者であり同時にジャーナリストでもある著者のファイルを本人が入手し、それを元に東ドイツがどう世界を捉えていたのか、それが情報公開されて今何が起きているのかを描いていく。 旧東ドイツの人々にしてみれば、自分のファイルがあった場合には身近な誰かがシュタージへの密告者だったりする可能性がある。こうして今生きている人間関係に罅が入る。夫婦だったのが実は密告者だったりしたら大変なことになる。また、シュタージの協力者だった、というファイルが残されている可能性もある。この場合、普通の仕事には就けないだろう。 日本ならこんなファイルは絶対に公開されないだろう。しかしドイツはやってしまうのだ。 根元にナチの反省があり、相変わらず追及が続いている。(日本はどうだ?)その上での独裁国家東ドイツの反省が加わるのだ。徹底するのは訳があるのだ。 個人の行動が記録されている訳だから、当然恋愛に関わる行動も記録されている。著者は自分のそうした記録についても触れている。これもまた勇気なんだろうな、と思う。 ジョン・ル・カレの小説の本当の姿はこういうことなんだろうな、と思う。なかなかにいい本だ。

Posted by ブクログ

2004/10/15

著者のティモシー・ガートン・アッシュはオックスフォード出身の歴史学者。1978年から81年にかけて博士論文の執筆のために東ドイツ側のベルリンに滞在する。だが、研究の傍ら、東ドイツの現状とその政治、さらに、80年頃から始まったポーランドの「連帯」を中心とした改革運動に強い関心を抱く...

著者のティモシー・ガートン・アッシュはオックスフォード出身の歴史学者。1978年から81年にかけて博士論文の執筆のために東ドイツ側のベルリンに滞在する。だが、研究の傍ら、東ドイツの現状とその政治、さらに、80年頃から始まったポーランドの「連帯」を中心とした改革運動に強い関心を抱くようになり、ドイツやイギリスの新聞、雑誌に記事を寄稿する。こうした活動が当時の東ドイツの秘密警察シュタージStasiの目にとまり、著者への偵察が始まる。★よく知られているように、当時のシュタージのスパイ活動の方法は、一般の人間をスパイとして活用し、密告や盗聴によって情報を収集するというものだ。情報提供者は東ドイツの人口50人につき一人に及び、ナチスドイツ時代の比率を大きく上回る。★こうした一般人の密告を中心とした「危険人物」と目された人物の情報はファイルにまとめられ保管されてていたのだが、「壁」崩壊後、こうしたファイルの閲覧が可能となった。コード・ネーム「ロミオ」として保存されていたファイルのコピーを著者は手に入れる。その日からこのファイル、そして自らの日記の両面から東ドイツの日々が再構成されていく。「自分はどのような理由で偵察されたのか」、「自分はどのような人物と東側の人間に思われていたのか」。そして、こうした問いを抱きながら著者はかつて自らを偵察した人物、組織の責任者との面会の旅を始めるのだ。★何の変哲もない市井の人間がごくごく近しい人をスパイしたという事実。壁崩壊から15年が近づいてきたが、この問題は未だに幕が下ろされたわけではない。秘密警察が保管していた文書を崩壊後、管理、公開していた機関は、その最高責任者の名を取って「ガウク機関」と呼ばれていた。この機関から資料を見つけ出し、スパイだった人物を公にさらし出すことが統一後、ひっきりなしにドイツのマスコミをにぎわせたようだ。「ガウクするGaucken(ガウケン)」という新造語までできた。公職を追われた者もいれば、家族が世間から白い目で見られている者もある。「ガウケン」されて自殺した人も多いらしい。30年付き添った最愛の伴侶が実は自分を偵察するスパイだった、という事実を知ったときその後の人生ひとはどう振る舞えばいいのか。★著者ガートン・アッシュは、自分の信じていた友情や愛情を踏みにじるようなスパイ行為、そしてその行為を正当化していた東ドイツの社会主義体制を嫌悪する。だが、そうでありながら、自分が仮に東ドイツのあの時代に生まれていたら、と問い、そのような行為に追い込まれていった人間に一定の理解を示していている。その意味では自由主義社会の安全な立場からの独善的な批判という印象は全く受けない。自分の祖国こそ世界有数の諜報活動期間を有している、ということを忘れていないところにも好感が持てる。なにしろ、イギリスの諜報機関にも自分のファイルがあり、一定期間偵察されていたことに彼はショックを受けているのだから。★書き方次第で、かなりドラマティックな物語を生み出すこともできたのだろうが、そこは歴史家。出来事は淡々と記述され、自分の感情の表現は最小限に抑えられている。★日本語の翻訳はあまりいいとは言えない。文体については文句を言うつもりはないが、ドイツ語の固有名詞の表記の仕方にミスが目立った。ドイツ語が少しでもできる人に見せれば回避できる程度のミスなのに。★ドイツ語訳を参照しながら読んだが、恐ろしく簡単なドイツ語なので、少しでもドイツ語の心得がある方は手元において読むといいと思う。

Posted by ブクログ

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