商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2001/10/30 |
JAN | 9784105328030 |
- 書籍
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アニルの亡霊
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アニルの亡霊
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商品レビュー
4.8
6件のお客様レビュー
雑草を抜くように簡単に人が殺される。そんな日常が当たり前の世界で暮らすというのはどういう感覚なのだろう?戦争は私たちが想像し得ないような価値観を生み出し、それがまかり通ってしまう。この物語はスリランカ内戦の悲惨さを国際協力(検死)という形を通して語りかけてくる。国内(スリランカ)...
雑草を抜くように簡単に人が殺される。そんな日常が当たり前の世界で暮らすというのはどういう感覚なのだろう?戦争は私たちが想像し得ないような価値観を生み出し、それがまかり通ってしまう。この物語はスリランカ内戦の悲惨さを国際協力(検死)という形を通して語りかけてくる。国内(スリランカ)の情勢を国外(西欧諸国)の感覚で判断すると必ず歪が生まれる。国際的判断というものは万国に通じるわけではない。たとえ不正な事だとしても、真実の追及が必ずしも道を正すとは限らない。オンダーチェは凄く悲惨な事柄を詩的な美しい文章で綴る。だから目を覆う様な悲愴な場面もすぅっと入ってくる。人間の儚さ、不条理にも嘆くわけでもなく、淡々と生活をする強さ。それらが、本当に美しく綴られる。なんでこんな文章が書けるのだろう。この作家は怪物である。とにかく、良書。
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マイケルオンダーチェ「アニルの亡霊」https://books.google.co.jp/books/about/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%AB%E3%81%AE%E4%BA%A1%E9%9C%8A.html?id=89SYPQAACAAJ 読んだ。よかっ...
マイケルオンダーチェ「アニルの亡霊」https://books.google.co.jp/books/about/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%AB%E3%81%AE%E4%BA%A1%E9%9C%8A.html?id=89SYPQAACAAJ 読んだ。よかった。よかったけど辛い。法医学者がジェノサイド調査でスリランカへ派遣される話が幹。いろんな人物が入れ替わり登場しては消えその全員が傷ついている。ずっと暗闇の中で断片的に話は進み、描写は映像的で美しい(おわり
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昨日感想を書こうとしたけど、書き始めることができなかった。 体の中に、この小説の残留物が沈殿していて、かき回すと、水の中の沈殿物みたいに舞い上がるのだけど、きちんと意味のある言葉にならないって感じです。 私のオンボロな処理能力が、物語を消化することに途中で追いつかなくなったのか...
昨日感想を書こうとしたけど、書き始めることができなかった。 体の中に、この小説の残留物が沈殿していて、かき回すと、水の中の沈殿物みたいに舞い上がるのだけど、きちんと意味のある言葉にならないって感じです。 私のオンボロな処理能力が、物語を消化することに途中で追いつかなくなったのかな。 きっとまだ処理中なのだと思う。 読み終わった日は眠りが浅くて、ずーっと深い森の中をさまようみたいな、明らかにこの本からインスパイアされたような亜熱帯な湿度の夢ばかり見続けて、夜中にちょっとうなされた。(でも意外にも寝覚めは悪くなかった) 最近、自分の生まれ育った土地を想う、という行為について(故郷そのものではなく、その行為について)考えることが多い。そして、故郷について語ることが、すごく難しいことのように思える時がある。 萩尾望都さんが「故郷の炭鉱町についてはまだ描けない」とどこかでおっしゃっていたけれど、この本もそんな感じで、ずっと書けるようになるのを待っていた、という印象の本だった。(もちろん本当のところはどうか知らないんだけれど) とにかく、なかなか一筋縄ではいかない複雑な語りになっている。 故郷の土地とはつまり、自分を作っているものは何か?ってことを考えることだから難しいのかな。 読んでいる間、「こんな国でもやはり愛する」(P317)という思いを非常に強く感じた。 そんな風に語る人を、紛争を取材したドキュメンタリーなどでは本当にたくさん見るよなぁ、と思う。 ガミニが「この土地への愛着は西洋人にはわからない」と言っていたけれど、そんなことはない、きっと彼らもまったく同じではなくても、違った形で理解はできるはず、と思ったりもする。 それはともかく、この本の主人公たち(アニル、サラス、ガミニ、そして開眼師の4人)は見事なまでに不協和音ばかり奏でていて、登場人物の関係性として、ある意味新鮮だった。 まるで遠心力が働いているみたいな人たち。 でも、この4人は個性が見事にバラバラなのに、私は全員に不思議なほど均等に共感した。 あと、サラスとガミニの兄弟は共に心の奥に大切なものの象徴として「子を思う母親」のイメージがあって、やはり兄弟なのだなぁと思った。 「似てない兄弟」って、まさにこういう、不思議なところで似ていたりするよね、と思う。 この本で描かれる人との距離感こそアジア特有なのかな。 オンダーチェの小説はいつもそうだけど、今回も気になるアイテムが満載で調べものに追われた。 毎回、この人の小道具の描写には激しく好奇心がかきたてられるんだよなぁ。 それが楽しみの一つにもなっているんだけど。 今回は、3つの「場所」が興味深かった。 サラスの師匠が晩年に姪とひっそりと暮らしていた修行の森、それと中国の古い水墓、そしてアニルがサラスと訪れたというコロンボ近郊のアランカレーの森の僧院。 師匠が隠遁生活を送っていた、という設定の地域(アヌラーダプラ)は、世界遺産にもなっているようなので、日本語で地名を入れただけでたくさんの関連サイトがヒットしたけれど、あとの二つは特定するのに結構苦労した。 岩が入口になっているという「アランカレーの森」は、日本語のサイトは見つからなかったけど、海外では普通に有名な観光地のようで、「Arankele Monastery」と入れるとたくさん出てきた。 本の中の描写どおりな印象。僧が二時間かけて掃き清めている、と書かれていた小道などの写真をしげしげと堪能。 中国の水墓、は場所の特定に一番苦労した。紀元前5世紀、という情報を頼りに探した。「曽侯乙墓」が正式名。 原文にはどう書かれていたのかは分からないけど、本には水墓、とあったので、私は、澄んだ水にひっそりと沈められた墓を想像して激しく心ときめかせていたのけれど、この言葉はちょっと語弊があるようで、実際は水は特に意図したものではなく、完成した後に地下水が入り込んでしまった、ということらしい。澄んだ水というよりは濁った水というのが正しいようです。 ただし、水のおかげで埋葬品の保存状態が素晴らしく良かったのは事実のようで、特にこの本に書かれていたとおり、出土した65個の編鐘は圧巻。 一つの鐘で短3度の二つの音を出すことができ、5人がかりで演奏するものだったとか。 鐘を吊るすフレームや鐘じたいの表面に彫られた碑文には当時の音楽理論が詳細に記されていたらしいが、どんな音楽が奏でられていたかはやはり謎のままで・・・等々、興味は尽きず、またまた説明サイトを読みふけってしまった。
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