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人間における悪 カントとシェリングをめぐって
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東北大学出版会 |
発売年月日 | 2001/11/22 |
JAN | 9784925085434 |
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人間における悪
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カントとシェリングが、悪というテーマについてどのような考察をおこなっていたのかということを明らかにしている研究書です。 カントは『実践理性批判』において、理性の自律によって道徳の基礎づけをおこないました。ところが、理性ではなく感性にしたがうことが他律と理解されるならば、そこに主...
カントとシェリングが、悪というテーマについてどのような考察をおこなっていたのかということを明らかにしている研究書です。 カントは『実践理性批判』において、理性の自律によって道徳の基礎づけをおこないました。ところが、理性ではなく感性にしたがうことが他律と理解されるならば、そこに主体の自由を認めることはできず、悪の責任を問うこともできないといわなければなりません。これに対して『宗教論』では、実践理性にもとづく格率よりも感性的な動機を優先する「恣意」(Willkür)の自由に悪の根拠が求められることになります。 つづいて著者は、シェリングの卒業論文である『人間悪の起源』について検討をおこない、そこではカントの考えを踏襲しつつ、感性的にして叡知的な存在である人間の「堕落」に、悪の起源を見いだそうとしていたことが明らかにされます。さらに、シェリングの思想の経過をたどり、絶対者についての考察が深められていったことが概観されます。このような議論を経て、カントが実践理性との関係によって悪を理解しようとしたのに対して、シェリングは人間と絶対者の関係のなかで悪の規定をおこなっていたことが指摘されます。 最後に著者は、シェリングの神話にかんする研究を検討することで、悪の克服がどのようになしかたで果されるのかという問題についての考察をおこなっています。シェリングの提唱する「哲学的宗教」は、絶対者と人間の関係を背景としつつ、神話と啓示の宗教の関係を統一的な視点から把握する立場を意味しています。このような視座に立つことで、根源的な自由意志を自己の内部にかかえ込んでいる人間が、神との関係を再構築することによって、悪を克服しうる見通しが得られたと著者は論じています。
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