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森の仕事と木遣り唄
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森の仕事と木遣り唄

山村基毅(著者)

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森の仕事と木遣り唄

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 晶文社/
発売年月日 2001/04/20
JAN 9784794964854

森の仕事と木遣り唄

¥2,640

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2013/03/11

実は木遣りというものを直に何度か聞いたことがある。家の前の道を車で十分ほど行ったところにある神社には、古来より二十年に一度社殿を建て替える風習がある。祭りらしい祭りのない市だからか「お木曳き」と呼ばれるその行事は多くの人で賑わう。御樋代木を載せた車の上で、法被姿の男が一人音頭をと...

実は木遣りというものを直に何度か聞いたことがある。家の前の道を車で十分ほど行ったところにある神社には、古来より二十年に一度社殿を建て替える風習がある。祭りらしい祭りのない市だからか「お木曳き」と呼ばれるその行事は多くの人で賑わう。御樋代木を載せた車の上で、法被姿の男が一人音頭をとると、車を引いているほかの男達がそれに唱和する。それが木遣りだった。その日のために何日も前から準備をして臨んでいるのだろうが、今まで聞いたどの木遣りにも心を動かされたことがない。ふだんは別の仕事をしている者が、節回しだけはまちがえずに歌ったところで、心に響くものになりえないのは当たり前で、こちらが無い物ねだりをしているのである。 ところが、日本中の山に分け入って、古老たちから、昔の木遣り唄を聞いて回った人がいる。木の伐採現場を実際に訪れたり炭焼き窯体験をしてみたりしながら、筆者は昔の暮らしぶりや、今の生活について山の仕事に携わる人々の話をじっくりと聞く。そうしながら口の重い山の男達の口から今はもう歌われなくなった作業歌を聞き出していく。 森林の荒廃が叫ばれて久しい。安い輸入材に押されて労働意欲を失い、放置された山が増えたからだ。しかし、それは林業だけの問題ではない。山仕事に限らず、個人の技量によって成立する仕事というものがかつてはあった。機械化や産業のシステム化が、そうした仕事を誰にでも代替可能な労働というものに変化させた。仕事の喜びの替わりに報酬の多寡が置き換わった。作業現場から歌が消えたのはその頃である。 木遣りには祝儀用の側面がある。鳶たちが歌う木遣りはお馴染みだが、冒頭の神事で歌われる木遣りも同じだろう。筆者は木遣りには祈りが込められているという。共に仕事をする仲間とのつながりや、それらを恵む自然そのものとつながろうとする祈りである。歌を奪われてしまった労働の現場にもう一度歌を回復させたいと願う筆者の思いにも熱い祈りが込められているようだ。

Posted by ブクログ

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