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ユリシーズ グラモフォン
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ユリシーズ グラモフォン
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商品レビュー
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2月27日に、「ジャック・デリダ没後20年ミーティング」が開催されるので、手に取った。/ ◯「ジョイスによせるふたこと」: デリダによるジョイス『フィネガンズ・ウェイク』の読解。 難解。もとより、デリダであり、「フィネガン」であり、加えて僕が「フィネガン」を未読であることもあり...
2月27日に、「ジャック・デリダ没後20年ミーティング」が開催されるので、手に取った。/ ◯「ジョイスによせるふたこと」: デリダによるジョイス『フィネガンズ・ウェイク』の読解。 難解。もとより、デリダであり、「フィネガン」であり、加えて僕が「フィネガン」を未読であることもあり、ほぼ取りつく島がない。/ ◯「ユリシーズ グラモフォン」: デリダは、『ユリシーズ』中の「ウィ(イエス)」について、論じている。/ 【ジョイスが問題であるとき、専門家とは何だろうか、それこそが私の問いである。(略)三月に友人(略)が発表の題名を聞こうと電話をかけてきたとき、私はまったく困り果ててしまった。私はまだ発表の題名を決めていなかったのである。ただ、自分が『ユリシーズ』におけるウィ〔イエス〕を論じたいと望んでいることだけは分かっていた。困り果てた私はただ漫然とウィの数を数えることさえ試みたのだった。原本(略)には、二二二回以上、イエスという語があった。】/ デリダの文章があまりピンと来なかったので、そうした場合の常で、ずっと他のことを考えていた。/ デリダがイエスに注目するなら、天邪鬼の僕は『ユリシーズ』のノーに注目したい。 ・愛国主義者へのノー ・カトリックの教義へのノー(堕胎の禁止。「殖えよ、地に満てよ。」) ・貞節へのノー(モリー) ・種蒔く人へのノー(スティーブンの母を十五回妊娠させた彼の父、ひいては多産によって女性を育児や家事の軛の下におき、よって社会生活の端役におしこめておこうとする男性至上主義社会) ・イギリス支持の支配階級へのノー(デイジー校長) / ◯〈脱線〉「殖えよ、地に満てよ。」(ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』(丸谷、永川、高松 訳/集英社/1996年/第八挿話「ライストリュゴネス族」37行目): ふと、『ユリシーズ』のこの言葉が、何の脈絡もなく想起された。 この言葉が発せられたとき、発話者には現在のような地球上での人口爆発は当然予想できなかったであろうが、だが、少なくとも発話者の居住地あるいは属する国家において、この言葉が人々によって墨守されれば、放っておけば、たちまち人口飽和状態に陥ってしまうということは予想できただろう。 それなのに、なぜ彼はこの言葉を発したのか? その裏には、現在のロシア軍におけるのと同様な、人々の生の消耗品(銃弾)的使用(十字軍などの異教徒討伐のための戦争における)が予定されていたのではないだろうか? この言葉は、いかにもヒトラーやプーチンのような軍神たちが口にしそうな言葉である。 仰せどおりに人々が地に満ちたとき、次に要請されるのは戦によって領土を拡張することではないだろうか? だからこそ、獣道家プーチン嫌いの僕は言おう、 「産むな、減らせよ!」 これこそが、平和国家へと至る唯一の道ではないだろうか?/ ◯編集部に寄せるひとこと: 原注(()で表示される。)と、訳注(〔〕で表示される。)の表示方法について、何の説明もない。 また、訳注が巻末に置かれていることは目次に示されているが、原注がどこにあるのかどこにも示されていない。(実際は各章ごとの末尾に置かれているのだが、各章がどこから始まるのかが目次に示されていない。) あるいは、それは、「叢書・ウニベルシタス」での共通の約束ごとなのかも知れないが、本叢書をたまにしか読まない僕には分からなかった。 本来であれば、一番最初にことわっておくべきことでは? とにかく、一人の馬鹿者が原注の位置を探して混乱してしまったことだけをお伝えしておく。 このような苦労を味わうのは、最近なかなかないことではある。 決して、本書がちんぷんかんぷんだったことの腹いせに言っているのではないので、そこんとこ、よろしく!
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