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明治元年の東京が舞台。 幕府が崩壊し、新政権が樹立された直後の東京は、古い時代と新しい時代が混然となっている。 武士は帯刀し、髷をつけたままだし、一方では横浜で異人館が続々と建てられ、発展を始めている。 維新の志士のひとりとして戦った鞍馬天狗は、新政府につくわけでもなく、気まま...
明治元年の東京が舞台。 幕府が崩壊し、新政権が樹立された直後の東京は、古い時代と新しい時代が混然となっている。 武士は帯刀し、髷をつけたままだし、一方では横浜で異人館が続々と建てられ、発展を始めている。 維新の志士のひとりとして戦った鞍馬天狗は、新政府につくわけでもなく、気ままな傍観者として、この世情を眺めている。 物語は自然、革命後の幻滅を描いていくことになる。そのまま暗く不満に満ちた話になるのかなと思ったら、さにあらず、旧武士の中の若い芽、将来への希望を描いて明るく終わる。 娯楽作品であるから、口あたりのよいエンディングは当然だろうけれども、こういう難しい背景を扱って、こういう快い結論を見いだすのは、やはり作者の大衆作家としての力量なのだろう。 この作品では、作者はストーリーよりも、古い時代と新しい時代の混じり合った東京を描くことに関心が引かれているようだ。
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