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完本 毒蛇 文春文庫
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完本 毒蛇 文春文庫

小林照幸(著者)

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完本 毒蛇 文春文庫

733

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋/
発売年月日 2000/02/10
JAN 9784167637019

完本 毒蛇

¥733

商品レビュー

4.6

5件のお客様レビュー

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2024/12/31

東大の研究室でハブの血清を作っていたものの、現場に行く意義を感じていない、実際に行ったことの無かった研究者が同僚に奄美大島への同行を誘われる。戦中のラバウル以来の南国気分を味わう位の気軽な気持ちで奄美大島に赴き、現実に衝撃を覚える。毒蛇咬による死や壊死の悲惨さ、冷蔵保存の必要な血...

東大の研究室でハブの血清を作っていたものの、現場に行く意義を感じていない、実際に行ったことの無かった研究者が同僚に奄美大島への同行を誘われる。戦中のラバウル以来の南国気分を味わう位の気軽な気持ちで奄美大島に赴き、現実に衝撃を覚える。毒蛇咬による死や壊死の悲惨さ、冷蔵保存の必要な血清はインフラの問題から冷蔵保存されていない、消費期限が切れた物が使用されている等々。その後は研究室と現場を往復し、血清の改良や注射部位などの治療方法の改善、ハブトキソイド(ワクチン)の開発などを精力的に行う。奄美大島以外にも沖縄や台湾でも現地調査を行い、発展途上国各地から招聘され研究を行った。 奄美大島編以降は冗長に感じたが、著者のあとがきを読んで印象がガラリと変わった。著者が憧れ、進学先にまで影響を与えたのが本書の主人公の沢井先生であり、本書の原型となった本の受賞がノンフィクションライターになるキッカケとなり、本書に登場する人々が鬼籍に入る前に話を聞くため大学を中退する事となった。冗長に感じた部分も含めて著者が書いて残すべきと決心したものであった。

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2023/05/07

前編は、奄美大島、沖縄のハブ被害、治療に関すること。ハブがこれほど恐ろしい蛇だとは思っていなかった。血清やワクチンの開発、頭の下がる思いです。 後編は、世界へ!という感じでした。特に、台湾医療(中医と西医)で苦労された話は、蛇被害よりも大変なことだったと想像された。

Posted by ブクログ

2018/11/08

これはひとりの医師が蛇毒と真剣に向き合った記録である。 東京大学付属伝染病研究所で毒蛇ハブの血清製造をしていた 沢井芳雄は、同じ研究所の仲間であり寄生虫の研究者から 奄美大島にハブ被害の記録が大量に保管されていることを 聞かされる。 太平洋戦争中、ラバウル島に軍医と...

これはひとりの医師が蛇毒と真剣に向き合った記録である。 東京大学付属伝染病研究所で毒蛇ハブの血清製造をしていた 沢井芳雄は、同じ研究所の仲間であり寄生虫の研究者から 奄美大島にハブ被害の記録が大量に保管されていることを 聞かされる。 太平洋戦争中、ラバウル島に軍医として赴いた経験のある沢井は、 奄美大島にラバウルを重ね、「南の島に行ってみたい」との思い にかられる。 昭和30年代。奄美大島に渡った沢井は、研究所の中で血清製造だけ を行っていたのでは分からなかった実際のハブ被害の様子を目の当 たりにした他、実はハブ被害の多い地域では血清への不満がある ことを知る。 この奄美大島での見聞が、沢井を蛇毒研究に駆り立てた。確かに 血清は死亡率を減少させたが、それだけでは不足だ。血清の改良を 行うと共に、血清療法の限界を感じていた沢井は、予防ワクチンの 開発をも手掛ける。 そして、沢井の興味は日本国内のみにとどまらず、世界へも向けられ る。 熱い作品である。行間から沢井が蛇毒に傾ける熱意と、著者の沢井と その研究への熱い思いが読み手にも伝播する。 幸い、私の生活圏ではアオダイショウやシマヘビを見かけることは あるが、毒蛇を見かけることはない。だから、その被害の凄惨さは 本書を読むまでまったく知らなかった。 毒蛇と一括りにしても、その毒性で人体への被害も異なるのだが、 出血性の毒にしろ、神経性の毒にしろ、本書で詳細に綴られている 毒蛇被害の様子に怖気を振るう。 こんなに暑い医師がいたからこそ、蛇毒被害は最小限に留めるよう な処置が出来るようになったのだね。 沢井芳雄。もっともっと、広く知られていい医師であり研究者だと 思う。 尚、私の不真面目は頭は本書に引き込まれている間にも「毒蛇は どく(こ)じゃ」とか、「I have a ハブ」なんてくだらない ことを考えていた。沢井先生並びに著者にお詫び申し上げる。 誠に申し訳ございません。

Posted by ブクログ