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キリストはふたたび十字架に(上)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 恒文社/ |
発売年月日 | 1998/08/14 |
JAN | 9784770409195 |
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キリストはふたたび十字架に(上)
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キリストはふたたび十字架に(上)
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商品レビュー
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『キリストは再び十字架に』はカザンザキス並びに現代ギリシャ文学の代表作とされる作品である。日本においては知る人間はほとんどいないが(かく言う私も紹介されるまでは全く知らなかった)、海外ではそれなりには知られているらしい。 題名からもわかるように、キリスト教を取り扱ったものであ...
『キリストは再び十字架に』はカザンザキス並びに現代ギリシャ文学の代表作とされる作品である。日本においては知る人間はほとんどいないが(かく言う私も紹介されるまでは全く知らなかった)、海外ではそれなりには知られているらしい。 題名からもわかるように、キリスト教を取り扱ったものである。中でもギリシャを舞台にしているわけで、ギリシャ正教というものを中心に取り扱い、そこからトルコとの関係も加わっていき、そのためある程度バックグラウンドを知っておいた方がいい作品ではあるが、とりあえず、私は何の予備知識もなく(せいぜいキリスト教に関するいくつかの知識だけ)読み進めていった。 物語としては面白い。キリスト教を取り扱ってはいるが、人間同士の衝突や融和といった動的なものが作中において展開させられ、わりかし物語としては正統な印象を受け、とっつきやすい作品だと思う。単純に物語の登場人物が最後どのような結末を迎えるのかが私は気になり、差し障りなく私はページをめくっていった。 読むにあたって私はキリスト教の「愛」というものを念頭にいれながら、読み進めていった。キリスト教の説く道徳というものは隣人愛を含めた愛なのだが、それは信徒も認めるように難しいものである。作中の舞台となる村はキリスト教が流布しているが、大半はとても「愛」を持っているとは思えないもので、口も態度も悪い。自分たちに不利益となるものは放逐し、人を殺したりもする。ショーペンハウアーは「倫理学や教説をもって聖人君子とすることはできない」と述べているわけだが、聖書の教えも、結局人の罪を拭い去ることはかなわない。作者はやはりそれを描きたかったのではなかろうか。村から離反した一団もなるほどそれらの村人に比べればキリスト教らしい愛は持っているが、それでも止むに止まれぬとはいえ結局村を略奪し始める。彼らとて罪をもっているのではなかろうか。作者の苦悩が浮かび上がってくる。 聖書およびキリスト教における「理想」と「現実」が作中において描かれる。結局は理想に到達するものはいなかった。愛を説きながらも利己心が上回る。その腐敗は現実世界においてもみられ、それはどこまでも真実ー苦い真実ーなのである。
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物語としては先が読めなくて面白いし、人物もいきいきしている。でも、ギリシャとトルコの関係や、キリスト教(ギリシャ正教)の知識がないと理解しづらい部分も多い。ところで、ヨーロッパではユダは黒髪黒髭で描かれることが多いけど、ギリシャでは赤髭が一般的イメージなんだなぁ…
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