商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社/ |
発売年月日 | 1997/12/10 |
JAN | 9784560046463 |
- 書籍
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鍵のかかった部屋
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鍵のかかった部屋
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商品レビュー
4
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ポール・オースターの初期作品であるニューヨーク三部作(「ガラスの街」、「幽霊たち」、「鍵のかかった部屋」)の最後を締めくくる作品です。これら三作品のテーマは同じです。いずれの作品でも主人公は謎を解こうと誰かを追いかけるのですが、一向に謎は解かれることなく、追いかけているつもりが逆に相手から追われているようになって、あるいは追いかけている相手が自分自身であるかのように思われて、自らのアイデンティティーを蝕まれていくのです。 三部作のうち「ガラスの街」や「幽霊たち」はやや実験的過ぎるきらいがあります。一方、「鍵のかかった部屋」は正統派の小説です。ストーリーの運び方のうまさ、エピソードのはめ込み方の巧みさ、文章の洗練度合いなどの点で、三部作の中でも抜きん出ていると思います。 この短めの作品にはオースターらしさがぎゅっと詰まっています。彼の作品の常套手段である「作中作(物語の中に別の物語を潜り込ませる)」という手法は、ファンショーの残した小説や手紙という形で、この作品でも効果的に使われています。また、主人公が他の登場人物の影を追いかけて深みにはまって行くというストーリー展開は、後に書かれる「リヴァイアサン」や「幻影の書」とも通じるものを感じます。 ところでこの作品中で出版社のスチュアートは、ファンショーが実在の人物ではなく主人公の「僕」が創り出した架空の存在ではないかと疑います。これはありえることでしょう。「僕」は独白します。── “鍵のかかった部屋のドア、それだけだった。ファンショーは一人でその部屋の中にいて、神秘的な孤独に耐えている。〔中略〕いまや僕は理解した。この部屋が僕の頭蓋骨の内側にあるのだということを” いやむしろ、ファンショーも「僕」もともに、オースター自身の頭蓋骨の内側にあるのでした。彼らはオースター自身の分身でもあります。タンカーの乗組員となり、フランスで暮らし、詩・小説・批評を書いたというのは、オースターの実人生そのものですから。だとすればこの小説の最後の場面は、ニューヨーク三部作で作家としてデビューしたオースターが、それまでの自分と訣別し新しく出発することの「記念碑」として書いたもののようにも思われます。
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失踪した友人の手がかりを追って探していくうちに、少しずつ少しずつ自分を見失っていく。 親友の才能への嫉妬や妻への後ろめたさ。 追い詰めて行っているようで、逆に自分の内側に追い詰められていく。 読み出したら止まらないのはなぜだろう。
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