商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 1997/06/24 |
JAN | 9784309011561 |
- 書籍
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神無き月十番目の夜
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神無き月十番目の夜
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商品レビュー
4.2
18件のお客様レビュー
江戸初期に常陸国で起きた「生瀬騒動」の顛末を描いた物語。戦国末、各地に割拠した土豪支配地が滅亡していく様を生々しく描き切っている。江戸幕府の一極支配が進展する過程では、この様な事例は全国で多数起こっていたのだろう。そう思わざるを得ない臨場感がこの作品にはある。 読後感は重過ぎるほ...
江戸初期に常陸国で起きた「生瀬騒動」の顛末を描いた物語。戦国末、各地に割拠した土豪支配地が滅亡していく様を生々しく描き切っている。江戸幕府の一極支配が進展する過程では、この様な事例は全国で多数起こっていたのだろう。そう思わざるを得ない臨場感がこの作品にはある。 読後感は重過ぎるほど。胸に迫る。人間の尊厳などというものは何処にも無い。しかし、"人と人とが争い合うという事はこういう事なのだ"と思う。目を背けてはいけない。そう思わせるだけの強さがある。史料を基にした創作作品ではあるが、歴史を学び、歴史を知る事が如何に大切なのかを改めて感じた。 追記 …読後感は白土三平の『カムイ伝』に近い。権力の持つ理不尽さ。どうしようもない虚無感。次々と死んでゆく無辜の民。その怨念すら歴史の狭間に埋もれていく。 映画ならローランド•ジョフィ監督作品『ミッション』ですね。
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重厚な文章、圧巻。中心人物と思しき藤十郎のゆくえに関する謎はメインではない。 彼の初陣から小生瀬に生きる者たちの生活、土着信仰、それらが時代がかわったことで転換をしなければならなくなったことでおこってしまった悲劇がメインなのだろう。 そのために彼らの生き方や生活がかなりのページを割かれて描かれていた。 踏み躙られる伝統、膨れ上がる怒りと反発。戦の無惨さを知る藤十郎の思い。面子を重んじ、民の反撃を恐れる者たち。それぞれが全く噛み合わない。 平穏に生きるということはとても難しいことなのだなと思った。
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関ヶ原の戦い後、小生瀬(茨城県北部)の村人が突然姿を消し、鳥や野犬に食べ荒らされた状態で発見される所から話が始まる。 それまで自治が認められていた豊かな村に、徳川の検地が入る。 戦より生きる事を選ぼうとする肝煎りと、戦を知らない若い世代とのギャップ。 どんどん不幸な結末へと向か...
関ヶ原の戦い後、小生瀬(茨城県北部)の村人が突然姿を消し、鳥や野犬に食べ荒らされた状態で発見される所から話が始まる。 それまで自治が認められていた豊かな村に、徳川の検地が入る。 戦より生きる事を選ぼうとする肝煎りと、戦を知らない若い世代とのギャップ。 どんどん不幸な結末へと向かっていく物語に、何度も読むのが苦しくなった。読み終わってもなお、心が重い。 普段相手にされない者ほど、聞かれると秘密を漏らす。 豊かで誇りを持って生きている者は、よそ者を温かく迎える。 なるほど、と思う人間描写が沢山あった。 「一村撫で斬り」 実際にあった事件を元に書かれた小説だが、本当に恐ろしい話だ。
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