商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 1996/11/08 |
JAN | 9784560046159 |
- 書籍
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供述によるとペレイラは…
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供述によるとペレイラは…
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商品レビュー
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2015.8.22市立図書館 須賀敦子がタブッキを訳していることはもちろん知っていたけれど、学生時代にぱっと手にとれたギンズブルグと違って、こちらはずっとなんとなく敬遠していた。最近になって須賀敦子全集別巻(対談・鼎談)でアントニオ・タブッキとの対談を読んで、興味をもった。 第二...
2015.8.22市立図書館 須賀敦子がタブッキを訳していることはもちろん知っていたけれど、学生時代にぱっと手にとれたギンズブルグと違って、こちらはずっとなんとなく敬遠していた。最近になって須賀敦子全集別巻(対談・鼎談)でアントニオ・タブッキとの対談を読んで、興味をもった。 第二次世界大戦が近づきつつあるポルトガル、1938年7月末から8月末に、とあるマイナーな日刊紙の文芸欄を担当する記者ペレイラの身に起こったことが、彼の供述という形で語られ、記録として綴られている。もっととっつきにくいかと思ったら拍子抜けするほど読みやすい内容で、ノンポリで、いちおうカトリック教徒ではあるがそれほど熱心なわけでもなく、ただ自分の来し方と文学を愛する冴えないおじさんペレイラに親しみを感じ彼の選択や疑問にも共感を感じさせつつ、思いもよらぬのっぴきならない事態にいつのまにか、そしてはじめは退屈なくらいゆっくりと最後は加速度的に、巻き込まれ追い込まれていく展開がおそろしい。 「供述」はいつどこでおこなわれ、けっきょくペレイラはどうなったのか、それは読者の想像に委ねられているが、明日はわが身という怖さもひしひしと感じた。 ペレイラは情勢への関心が薄いノンポリだったのがいけなかったのだろうか、いや、はっきりした政治的立場があればあったでやはり葛藤はあり窮地に追い込まれもしただろう。でも体制にとりいるなり距離を取るなり国に見切りをつけるなりもっとかしこくしたたかに動けた可能性はあったかもしれない。けっきょくそういうものなのだろうか。自分の信念をたいせつに、自分なりにそのときそのときに最善の判断をしているつもりがいつのまにかのきひきならない泥沼に足を取られてしまうことになるのだろうか。 この本は、イタリアが急に右傾化した1993年の夏に書かれたという。2015年の夏の終わりの日本がざわざわしている今、須賀敦子とタブッキの対談に接し、出会うべきときにこの作品に出会えた不思議。
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ストーリーの舞台は第2次世界大戦がはじまらんとしているころの軍事独裁政権のポルトガル。 隣国スペインでは市民戦争が、又イタリアではムッソリーニが政権を執り、ポルトガル政府はナチスドイツと同盟関係にある。 不穏な空気が徐々に蔓延しつつあるリスボンで時代の閉塞感を感じながらも、淡々と文芸面を担当する新聞記者であり妻に先立たれた冴えない中年男性ペレイラが主人公。 明確に意図したところではないにもかかわらず、ペレイラはいつしか見えざるものに導かれるようにして反政府組織の抵抗運動に巻き込まれていく。本書にたびたび出てきた表現を使えばペレイラのたましいの主導的エゴが変遷していくさまを描いているといえるかもしれない。 巻末に おそらく著者タブッキがこの本を書き終えたであろう日付が記されている。 1993年 8月25日 つまり今から19年前に描かれた本ということだけどこれは少し意外な感じがした。こういう題材を扱うのはおそらくもっと戦争の傷跡が生々しい1950年代から70年代くらいに描かれたはずという先入観をどこかに持ちつつこの本を読んでいたからだ。 巻末の訳者 須賀敦子さんの解説を読んで納得した。 これが書かれた1994年は20世紀前半の忌まわしい政治思想を いつ国民が選択してもおかしくない と思わせる政治情勢に再度イタリア国内が入り込んでしまった頃だったようだ。 著書は場所をあえてポルトガルという隣国に設定しつつ、時代もその忌まわしい20世紀前半に据えたうえで、この本が書かれた当時のイタリアの状況に一石を投じるつもりでこの本を書いたのではないか ということがうかがえる。 1994年に実際発売されてすぐにベストセラーのトップを飾り 一年あまりにわたるロングセラーとなったそうだ。 200ページ足らずのこの本を25章に分け、こきざみに場面を変えながらテンポよく物語はすすむ。 そして いずれの章も 供述によるとペレイラは という一文で始まる。 その言葉の意味するものが深く心に突き刺さるのは全文を読み終えたときだ。
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新聞記者ペレイラが政治運動に巻き込まれていく状況をペレイラの供述という形で書き進めている。1994イタリア。
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