商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1995/08/20 |
JAN | 9784104066018 |
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商品レビュー
4.1
29件のお客様レビュー
15年ぶりくらいの再読。ため息が出るほど素晴らしい。 時のいたずらに翻弄される主人公。しかしその残酷ないたずらにただ足掻くのではなく、前向きに立ち向かう主人公。エピローグには胸を動かされた。
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作者の優しい視線が光る。タイムスリップ物はあまり好みではないけれど、17歳の高校生が25年後に突然飛んでしまった心情がとても丁寧に描かれていた。
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北村薫の「時と人 三部作」と呼ばれる作品の最初のモノ。第114回直木賞候補だったらしい。 17歳の女子高生、一ノ瀬真理子は同級生の池ちゃん、田辺さんらと共に運動会に向けて準備をしていた。 その運動会の午後の部が大雨の為に中止となり、家に帰った真理子は音楽を聴きながら昼寝をしてし...
北村薫の「時と人 三部作」と呼ばれる作品の最初のモノ。第114回直木賞候補だったらしい。 17歳の女子高生、一ノ瀬真理子は同級生の池ちゃん、田辺さんらと共に運動会に向けて準備をしていた。 その運動会の午後の部が大雨の為に中止となり、家に帰った真理子は音楽を聴きながら昼寝をしてしまう。 そして目が覚めると、そこは25年後の世界だった。 25年後、自分は桜木真理子となり、旦那と17歳の娘を持つ高校教師だった。 理由もなくこのような事態に陥ってしまい、パニックと恐怖に潰されそうになる真理子だったが、 とにかく「今」をきちんと生きようと少しずつ進みだす。。。 いきなり25年後にタイムスリップしてしまった17歳の女子高生の物語。 …と書くと何だかSFチックに思えてしまうが、これはSFではない。 家族と自分のあり方や、過去と現在の自分を見つめ直す一人の女性を描いた小説である。 17歳という、無限の可能性が広がっていたはずの時代から、 一気に42歳というある程度人生の形が見えている地点への“スキップ”。 これはとても残酷な仕打ちであろう。 ましてや女の子である。 人生のうちでもかなり輝かしいはずである10代の終わりから20代を全て体験しないでいきなり子持ちとは、 恐怖よりも怒りが湧いてきて良い状況だ。 実際、主人公の真理子もやるせない気持ちをふんだんに感じ、何度も恐怖に押しつぶされそうになる。 それでも持ち前の「負けん気の強さ」で、とりあえず今出来る事をやろうとする。 そして自分の職業が教師であると知ると、何はともあれその「教師」である自分を全うしようとする。 とても強い。 もちろん旦那さんや娘の美也子の力をふんだんに借りるし、 出来る事なら17歳に戻りたいと常に願っている。 でも、まずは『桜木真理子』であろうと最大限の努力をするのである。 そうやって徐々に“42歳の国語教師”という状況を受け容れ、「今」を全力で生きていこうとする。 その、戸惑いつつも頑張る様子が、非常に愛らしい。 物語の終盤、真理子は一人の男子生徒にある告白をされる。 その対応は、既に「17歳の女子高生」ではなく「42歳の桜木真理子」そのものであろう。 この小説は、一ノ瀬真理子の成長譚でもあるのだろう。 小説の終わり方は予想とは違ったが、何か強い気持ちになれる物語だった。 古い時代の描写に若干付いていけなかったのだけが残念。
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