スキップ の商品レビュー
15年ぶりくらいの再読。ため息が出るほど素晴らしい。 時のいたずらに翻弄される主人公。しかしその残酷ないたずらにただ足掻くのではなく、前向きに立ち向かう主人公。エピローグには胸を動かされた。
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作者の優しい視線が光る。タイムスリップ物はあまり好みではないけれど、17歳の高校生が25年後に突然飛んでしまった心情がとても丁寧に描かれていた。
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北村薫の「時と人 三部作」と呼ばれる作品の最初のモノ。第114回直木賞候補だったらしい。 17歳の女子高生、一ノ瀬真理子は同級生の池ちゃん、田辺さんらと共に運動会に向けて準備をしていた。 その運動会の午後の部が大雨の為に中止となり、家に帰った真理子は音楽を聴きながら昼寝をしてし...
北村薫の「時と人 三部作」と呼ばれる作品の最初のモノ。第114回直木賞候補だったらしい。 17歳の女子高生、一ノ瀬真理子は同級生の池ちゃん、田辺さんらと共に運動会に向けて準備をしていた。 その運動会の午後の部が大雨の為に中止となり、家に帰った真理子は音楽を聴きながら昼寝をしてしまう。 そして目が覚めると、そこは25年後の世界だった。 25年後、自分は桜木真理子となり、旦那と17歳の娘を持つ高校教師だった。 理由もなくこのような事態に陥ってしまい、パニックと恐怖に潰されそうになる真理子だったが、 とにかく「今」をきちんと生きようと少しずつ進みだす。。。 いきなり25年後にタイムスリップしてしまった17歳の女子高生の物語。 …と書くと何だかSFチックに思えてしまうが、これはSFではない。 家族と自分のあり方や、過去と現在の自分を見つめ直す一人の女性を描いた小説である。 17歳という、無限の可能性が広がっていたはずの時代から、 一気に42歳というある程度人生の形が見えている地点への“スキップ”。 これはとても残酷な仕打ちであろう。 ましてや女の子である。 人生のうちでもかなり輝かしいはずである10代の終わりから20代を全て体験しないでいきなり子持ちとは、 恐怖よりも怒りが湧いてきて良い状況だ。 実際、主人公の真理子もやるせない気持ちをふんだんに感じ、何度も恐怖に押しつぶされそうになる。 それでも持ち前の「負けん気の強さ」で、とりあえず今出来る事をやろうとする。 そして自分の職業が教師であると知ると、何はともあれその「教師」である自分を全うしようとする。 とても強い。 もちろん旦那さんや娘の美也子の力をふんだんに借りるし、 出来る事なら17歳に戻りたいと常に願っている。 でも、まずは『桜木真理子』であろうと最大限の努力をするのである。 そうやって徐々に“42歳の国語教師”という状況を受け容れ、「今」を全力で生きていこうとする。 その、戸惑いつつも頑張る様子が、非常に愛らしい。 物語の終盤、真理子は一人の男子生徒にある告白をされる。 その対応は、既に「17歳の女子高生」ではなく「42歳の桜木真理子」そのものであろう。 この小説は、一ノ瀬真理子の成長譚でもあるのだろう。 小説の終わり方は予想とは違ったが、何か強い気持ちになれる物語だった。 古い時代の描写に若干付いていけなかったのだけが残念。
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書店で帯を読んで衝動買いしたのは、大学生の頃でした。とんでしまった25年。戻らないと受け入れて生きて行く。その覚悟ができるまで…。 悲劇なのかもしれない。でも、とても温かくて前向きになれるお話です。 彼女が書いた歌詞に、心を打たれました。
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ヒロインは17才から25年後にタイムスリップ 現在自分が読んでるのはさらに25年後 時代設定はまあまあついていけるけど 時間のズレを考えて読むので少々考えながら(^-^; それでも面白い展開なので楽しんで読んでいる 《あの人》はとてもいい人だったみたいで羨ましくなります 自分の中で教室はHZ中、文化祭と体育館はHS ヒロインはKY先生ですね 充実した文化祭の記憶がないので 本の中の世界にハマりました バレーもやって舞台もやって合唱もやって… 模擬店とかクラス出し物も物語の中で体験した気分 これからは現在を見つめ直して生きていきます 自分にしかない素晴らしい過去は 大事にとっておこうと思います
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北村薫作品はこれが初。SFも好き、というようなことをいったら、同僚がこの本を紹介してくれた。読んでいて、余りにも学校現場の描写が詳しいので、もしかすると?、と思い著者の履歴を見てみたら、高校教師とあって、納得。 ヒロインは25年後の世界へワープ・・・、それだけで終わる展開とは思っ...
北村薫作品はこれが初。SFも好き、というようなことをいったら、同僚がこの本を紹介してくれた。読んでいて、余りにも学校現場の描写が詳しいので、もしかすると?、と思い著者の履歴を見てみたら、高校教師とあって、納得。 ヒロインは25年後の世界へワープ・・・、それだけで終わる展開とは思っていなかったので、いつになったら、また環境が変わるのかな?、と思いつつの読書だった。
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目が覚めたら25年も経ってた、と云うのが本書のさわり。 その後は元に戻る為のサスペンスかと思いきや、アッサリと順応(そう感じた)してしまい、現状を受け入れていく女性のお話。 文章のせいなのか悲壮感が無くて、案外只の記憶喪失じゃ、と思ってしまう。
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17歳の少女が目覚めたら25年間スキップして、42歳になっていた。人生で一番輝いているだろう時間をスキップしてしまった主人公の絶望はいかばかりのものだろうか。ベタな終わりかたではないところが、よい。
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地平線まで一面のれんげ畑の中の一本道を歩いて行くイメージ 友人にすすめられて、北村薫さんの著作を読んだ。 この本の空気が好き。
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年をとることは、何かから自由になり、若さは苦々しさでしかなかったけれど、まっすぐである潔さはまぶしい んだなぁ。17さいの自分がこんなふうだったとは思えないけど、この著者の誠実な筆致で、とても好感がもてる。ラストが意外だけど、ご都合主義の選択ではないところに、やはり潔さがあって◎
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