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すべての火は火 叢書アンデスの風
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すべての火は火 叢書アンデスの風

フリオコルタサル【著】, 木村栄一【訳】

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すべての火は火 叢書アンデスの風

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商品詳細

内容紹介 内容:南部高速道路.病人たちの健康.合流.コ-ラ看護婦.正午の島.ジョン・ハウエルへの指示.すべての火は火.もう一つの空. 解説
販売会社/発売会社 水声社
発売年月日 1993/06/30
JAN 9784891762865

すべての火は火

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商品レビュー

4.6

6件のお客様レビュー

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2018/07/14

後書きを読んでみて、そういう設定だったのね、と改めて複雑さを知り、やっぱり全然読み解けてないな、と。もしかして私はこの人の作品は向いてないのかも。「病人たちの健康」年老いた母親を思いやり、真実を伝えられない中、本人は気づいていて、気を使わせて悪かったなどという。この人の表現する幻...

後書きを読んでみて、そういう設定だったのね、と改めて複雑さを知り、やっぱり全然読み解けてないな、と。もしかして私はこの人の作品は向いてないのかも。「病人たちの健康」年老いた母親を思いやり、真実を伝えられない中、本人は気づいていて、気を使わせて悪かったなどという。この人の表現する幻想って今生きている現実の生活にピタリ寄り添っていると思う。しかしそれが鮮やかすぎるため、現実の方がおざなりに置いてきぼりにされているような。それがとてつもなく悲壮感を表しているので苦しい。

Posted by ブクログ

2018/01/04

 8編からなる短編集。 「南部高速道路」  彼の代表的な短編ということになるのだろう。  恐ろしいまでの高速道路の渋滞によって、原始的な共同体が築かれ、いつしかそんな共同体に馴染んでいく人々。  渋滞が解除されると、共同体(もしかしたら共同の幻想のようなもの)があっとい...

 8編からなる短編集。 「南部高速道路」  彼の代表的な短編ということになるのだろう。  恐ろしいまでの高速道路の渋滞によって、原始的な共同体が築かれ、いつしかそんな共同体に馴染んでいく人々。  渋滞が解除されると、共同体(もしかしたら共同の幻想のようなもの)があっという間に崩れていく。  最後の一文は、文明社会に対する皮肉とも悲哀ともとれる。 「病人たちの健康」  切なくなるような物語。  知られてはいけない息子の死と、死にゆく母親。  それらを取り囲む生き残った周りの人々の葛藤と苦悩。  母の死後に届く息子からの手紙の不思議はまるで嘘と真実が交差してしまったかのよう。  母親は間違いなく「私」ではなく「私たち」は「もうこれ以上迷惑をかけないから」と言い残して亡くなっていった。  それは嘘をつかれていたはずの母が、実は全てを知っていた上で、回りの人々に嘘をついていたことへの謝罪も兼ねていたのかも知れない。 「合流」  解説を読むと、この作品はキューバ革命の英雄である、エルネスト・チェ・ゲバラを主人公とした作品とのこと。  戦場における極限状態に近い状況に置かれた男の戦争途中における回顧録的内容。  この男が、この戦争が、どういう顛末を迎えるのかまでは描かれていない。  時間軸が微妙に前後する箇所があり、読み進めるための緊張感を嫌でも強めてくれる。 「顔を引き剥がして差し出してくるルイス」という表現が、身に覚えのある罪悪感にも似て、不気味でもあり恐怖でもある。 「コーラ看護婦」  虫垂炎、つまり盲腸の手術を受けることになったパブロ少年とその母親、パブロ少年の看護を担当するコーラ看護婦と彼女と男女の関係にあるマルシアル医師、手術の執刀医(脇役程度だが重要な独白をする)、各自の独白が段落の変更なく交互に、というよりも次々と順繰りに登場してくる作品。  思春期の少年患者と、新米の若い看護婦の話であり、自意識過剰な独白が続くのだけれど、何とも言えない読後感が強烈に残る終わり方である。 「正午の島」 「あれ?」と思わせるようなセンテンスが登場し、その後一瞬にして視点が、風景が、話の中心が遷移してしまう内容はやはり何度読んでもはっとさせられる。  解説にアンブローズ・ビアスの「アウル・クリーク橋の一事件」を思い出させるとあるが、そういえば「対岸」に収録されていた「レミの深い午睡」も似たような題材の作品だったなと思い出した。 「ジョン・ハウエルへの指示」  芝居の舞台というのはやはり非日常的で不条理な場であるのに違いなく、いったんその舞台に足を踏み入れ、その非日常的で不条理な場で言葉を交わしてしまったために、結局はその場から逃れられなくなった男の話、といったところだろうか。  なぜ彼は逃げるのか、そもそも彼は追われているのか、あの女性は本当に殺されたのか、渡るべき川は何を意味しているのか。  答えは提示されてはいないが、提示されていない面白さにどっぷりと浸かることが出来る。 「すべての火は火」  ローマ時代の円形闘技場での剣闘士同士の闘いと、現代のパリにおいて電話を介して行われる男女の決別の瞬間とその後の別の女性との逢瀬と顛末。  時空の全く異なる話が交互に現れて最後に一つに重なる。  こういう風に書くと、例えば村上春樹の「世界の終りと~」等を思い出す方もいるだろうが、「世界の終りと~」のように、二つの世界が判りやすい形で平行に進むのではなく、まさに混在した形、入り乱れたような形式で物語が進む。  タイトルの「すべての火は火」はまさに的を射た表題だな、と思わせてくれる。 「もう一つの空」  ある男性がブエノスアイレスにある通りを歩いていると、ふとパリにあるヴィヴィアンヌ回廊に出てしまい、そこでジョジアーヌという女性と出会う。  以降はブエノスアイレスの生活とヴィヴィアンヌ回廊での生活を行き来することになる。  ブエノスアイレスの世界には婚約者や男性の母親が、ヴィヴィアンヌ回廊の世界では、絞殺魔ローランや正体不明の南米人が登場する。  それぞれの人物、それぞれの世界、なぜ二つの世界を行き来するようになったのか、そういった謎は一切不明のままに物語は終わる。  解説を読むと「そういう読み方もあるかな」と思えるのだが、そういうことでもないだろう、という釈然としない気持ちもある。  いずれにしても、何か大切なものを失くしてしまったのだ、という意味不明な喪失感が読後にずっしりと残ったように思う。

Posted by ブクログ

2015/01/25

手のひらの上で完全に完結する小さな異世界。 南部高速道路 病人たちの健康 合流 コーラ看護婦 正午の島 ジョン・ハウエルへの指示 すべての火は火 もう一つの空

Posted by ブクログ

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