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人間の測りまちがい 差別の科学史
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人間の測りまちがい 差別の科学史

スティーヴン・J.グールド【著】, 鈴木善次, 森脇靖子【訳】

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人間の測りまちがい 差別の科学史

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 1989/07/20
JAN 9784309250489

人間の測りまちがい

¥4,164

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2024/01/22

客観的に物事を見つめる手段のはずの科学が差別の根拠として用いられてきたが、その正確性や正当性を検証するとそこには恣意的にデータや結果を歪めて扱う「人の意思」があった。 バージェス動物群を紹介した名著「ワンダフルライフ」のグールドが、差別の科学に真っ向から立ち向かいます。 例えば...

客観的に物事を見つめる手段のはずの科学が差別の根拠として用いられてきたが、その正確性や正当性を検証するとそこには恣意的にデータや結果を歪めて扱う「人の意思」があった。 バージェス動物群を紹介した名著「ワンダフルライフ」のグールドが、差別の科学に真っ向から立ち向かいます。 例えば18〜19世紀ごろ、欧米の白人から見て文明化されていないアジアやアフリカの人種は劣っていると見るのは不自然なことではないかもしれません。そのことを科学的に検証しようとして人体計測、特に頭蓋骨の差異を根拠としたのが19世紀。それがどうやら実を結ばないと分かって次に根拠としたのがIQ、つまり知能の差異が生まれ持ってきまってるんじゃないか、という願望。これらの差異を見出すことによって白人男性以外はみんな劣っているとした研究について、その根拠をグールドは丹念な調査によって、時には(はるか昔の論文の)生データをひっくり返して検証し、否定していきます。実に恐ろしい執念ですが、それだけに圧倒される思いで読みました。 結局、差別というのは人間の思い込み(あるいは保身)によって発生し(宗教、つまり聖書含む)、その思い込みが科学ではデータの扱いや統計結果を恣意的に解釈してしまうということに終始するので、科学を扱う人間性そのものが問われるのだなあ、という結論にしかたどりつきません。これらの恣意的な運用は現代でもよく行われるので、実のところはまあ夢も希望もない話でもありました。 さて、実はこの話って案外身近で、日本にも事例があります。江戸時代後期から明治期に海外・日本の研究者がアイヌの人々のお墓から遺体や埋葬品を盗掘し、研究材料として持ち去っていたのです。現在まだ遺骨返還については裁判が行われています。この一連の事件は、研究者による盗掘という側面しかクローズアップされませんが、問題はこれらの頭骨が「何の研究に使われていたのか」なのです。その研究テーマや結果は寡聞にして知りませんが、もしかしたら、その中にアイヌ民族が劣等人種であるという証左とするための研究があったのかもしれません。遺骨を持ち去り、その上劣等人種のレッテルを貼りつける。そんな人の道に悖る研究がなされていたとしたら、和人としては大変に残念に思うところではあります。 頭骨や人体計測による人種のランク付というのは19世紀にその有効性が疑われて消えていきますが、実は戦後まで、日本ではアイヌ民族に(北欧でもサーミを対象に)行われていたようです(ほかにもあったことでしょう)。実際に人体計測・頭骨計測を経験したアイヌの方の話を聞いたことがありますが、その恐怖と恥辱は筆舌に尽くし難いものだったようです(当然その後の差別・いじめにも発展したでしょう)。そんな思いをする人が早くこの世界からいなくなるとよいと思います。

Posted by ブクログ

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