名画の中で働く人々 「仕事」で学ぶ西洋史 集英社文庫

中野京子(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2025/09/19
• JAN: 9784087448122

商品レビュー

2025/11/19

絵画の表面的な美の奥に潜む歴史的背景 マタドールを頂点とする厳格な階級制度 巨牛を弱らせる役目のピカドールとバンデリリェーロ 一人前のマタドール育成にかかる一億円 宮廷の奥深くで権力闘争を目撃する侍女 ウィンストン・チャーチルにつながる侍女の系譜 市場で人々を騙す香具師の変わらぬ構図 録音のない時代における宮廷音楽家の苦労 羊飼いが背負う社会のアウトサイダー性 女性科学者ヒュパティアの凄惨な最期 貝殻で皮膚と肉を削がれた暗示としての裸体 貧しさゆえに肖像画のないキュリー夫人 舞台の笑顔の裏にある道化師の涙 劇的なドラマの中心にはなりにくい警官 簡単なことを難しく考えるのが思想家の仕事 ファッションが時代を映し出す鏡となる イエスと結びつき神聖化された大工の職業 ナイチンゲールによる看護職のプロ化 成功しても処刑される政治家のリスク 革命下でギロチンにかけられた修道女たち 賛美歌を歌っていたことを示す開いた口 すでに処刑が始まっていることを示す血痕 語学も体力も必要なゴンドリエーレの資格 聖女ジャンヌ・ダルクを裁く異端審問 戦場を舞台にする世界最古の男の仕事 傭兵隊長から君主へ成り上がる下剋上 ヴィクトリア朝の悪女とモデルになった女優 人間のためではなく神のために働く天使 天使会社では中間管理職にすぎないガブリエル 絵画の細部から歴史の真実を読み解く

2025/10/27

2025/10/26読了。
毎度のこと、読み易く面白く、勉強になる。今回は「仕事」にフォーカスしての絵画解説。昔から変わらぬものもあれば、社会的地位が向上したものもあり、消えていったものもあり（異端審問官とか、復活されたら困る）。
しかし……20世紀終盤以降に関しては、往時の「職業」を知るよすがは絵画ではなく、映像が主になっているのだろう。かつて写真が発明された時、写実的絵画はその存在意義を脅かされたと思うのだが、今や生成AIの発達で、空想的なイメージすらリアルに映像化出来てしまう。もしかしたら、そう遠くない未来に、「画家」は居なくなり、ただの歴史用語になっているのかも知れない？

2025/10/18

淡々と解説が書かれてる訳じゃなく
読みやすい文章ですらすら読めたし、飽きない
中野さんの他の本も読みたくなった〜