学校では教えてくれない 差別と排除の話 新版

安田浩一(著者)

• 販売会社／発売会社: 皓星社
• 発売年月日: 2025/09/18
• JAN: 9784774408651

商品レビュー

2025/10/21

政治家でさえ根拠のないデマをもとに差別をする時代、誰の言葉なら信頼できるのかを見極めることがとても大事だ。そしてなるべくたくさん信頼できる人たちを作って、差別の感情にからめとられないようにすること。安田さんは、信頼できる人だと思う。

10代の子たちに読んでほしい。できればSNSでヘイトと出会う前に。

2025/09/26

長年、外国人労働問題などに取り組んできたジャーナリスト・安田浩一さん。
本書は2017年に出版された中高生向けの書籍の新版で、外国人労働者への差別の実態や技能実習制度の問題点などが、やさしい言葉でわかりやすく書かれています。

やさしい表現でありながら、「なぜ差別や排除はいけないのか」がきっぱりと示されており、説得力があります。
たとえばヘイトスピーチについては、

「ヘイトスピーチは表現のひとつではありません。人間の尊厳を奪い、貶め、そして人や社会全体を傷つけるものです。」

と断言。差別を許さないという著者の強い意志が伝わってきます。

また、差別や排除の感情を理性で抑えきれず、暴力にまで至らせるスイッチのひとつが「ネット」であり、「表現の自由だから」と放置してはいけない、と警鐘を鳴らしています。
さらに、差別されている人を「かわいそう」と他人事で眺めるのではなく、自分ごととして想像することの大切さを説いており、私も深く共感しました。

本書のテーマは重いものですが、金井真紀さんのやさしくかわいいイラストが読者の心を和ませてくれます。巻末には安田さんと金井さんの対談も収録されており、『戦争とバスタオル』の名コンビらしい掛け合いが楽しめました。

さらに巻末には「安田浩一が選ぶ 差別と排除を知るための本」というブックリストも掲載されています。より詳しく知りたい方には、とても良いガイドになるはずです。

中高生に限らず、多くの人に読んでほしい一冊です。