たびじ 朝日文庫 朝日時代小説文庫

アンソロジー(著者), 細谷正充(著者), 浅田次郎(著者), 池波正太郎(著者), 梶よう子(著者), 西條奈加(著者), 佐江衆一(著者), 澤田瞳子(著者), 澤見彰(著者)

• 販売会社／発売会社: 朝日新聞出版
• 発売年月日: 2025/06/06
• JAN: 9784022651976

商品レビュー

2025/09/03

主に江戸時代の旅人の姿を描いたロードノベルアンソロジー。
仇討ち、人情もの、関所を舞台にしたもの、無宿者の股旅、ドタバタもの等、バラエティ豊かな7編から成る短編集だ。
「椿寺まで」・・・明治6年、甲州街道を旅し、買い付けに向かう江戸の反物商人と、丁稚の二人。行き着く先で、幕末の時代に翻弄された二人の真の姿がわかる。　
「かたきうち」・・・くだらない喧嘩で父親を殺害された男が仇討ちの旅に出るが、相手は格上ゆえ、積極的な気持ちになれない。ところが、仇の男の身の上に異変が生じる。
「長崎奉行」・・・異国の焼き物を買い付けに長崎に行く主人公と番頭、用心棒の男の三人旅。旅先で美貌の若侍を巡る騒動に巻き込まれる。波乱の展開が面白い。
「氷目付」・・・箱根の関所に詰めることになった小田原藩士の二人。横目付という新しい役職に就いた男から見張られるが、押し込み強盗の関所抜けを阻止する中で、二人が抱いていた横目付への印象が変わる。
「峠の伊之吉」・・・女癖の悪い無宿者の伊之吉が、ひょんなことから身重の女と出会い、二人の人生が明るい方向に向かっていく。温かな気持ちになる物語。
「忠助の銭」・・・浅草の呉服屋の手代が、集金の旅に出るが、小田原の宿屋で、受け取った代金40両が無くなっていることに気づく。実直な性格の男は、逃げるか、追いはぎをするか、はたまた、自害するかと悩み抜く。だが、自ら取った人助けの行為が、ある人物との出会いを呼び、救いの手が差し伸べられる。
「高尾参り」・・・町内の旦那衆の高尾参りに犬が同行。飼い主の娘と、娘にぞっこんの大店の手代が、心配して、密かに一行の後をつける。落語そのものの語り口が楽しい。

2025/06/18

江戸から明治へ。駆けおち、関所破り、かたき討ち、愛犬との参拝旅・・・・。江戸の旅はドラマチックで、面白い！人気・実力派作家による傑作時代小説アンソロジー。