世田谷みどり助産院 「おっぱい先生」改題 光文社文庫

泉ゆたか(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2025/03/12
• JAN: 9784334105686

商品レビュー

2025/11/27

p.199 長谷川さんがひとりで梨沙ちゃんを育てることは、無理です。できません」「でも、そうするしかないんです。前もお話ししたとおり私はシングルマザーです。梨沙の父親は、認知をすることさえ拒絶しています。両親からは私が未婚で子供を産んだことで勘当する、と言い渡されています」奈緒子は悲痛な声で言い返した。
「ですが無理です。このままでは、梨沙ちゃんの命に危険が及びます」命の危険、と聞いて背筋がぞくりと冷えた。
「そんな！私は梨沙の育児放棄をすることなんて、決してありません！シングルマザーだからって、そんな偏見…・・・・・」
頬が熱くなった。悔し涙で視界がぼやけた。
「そんなことは一言も言っていません！落ち着いて人の話を聞いてください！」
律子が驚くほど大きな声を出した。
「あなたが倒れれば、梨沙ちゃんはひとりで助けを呼ぶことはできません。あなたが健康200
でなければ、梨沙ちゃんはたった一日でさえ生き延びることはできないんです。あなたは梨沙ちゃんのために身体を休めなくてはいけません。そのために使えるものはすべて使うべきです。決して海構を張らずに、大騒ぎしてみんなに謝って泣きついて、それこそ、立っているものは親でも使うんです！」律子が鋭く言い切った。
「梨沙のために身体を休める、ですか・・・・・・」
梨沙のためなら、眠る時間なんて惜しくないと思っていた。ほっと一休みの時間なんて、もう一生手に入らなくてもいいと思っていた。
ひとりで子供を産むということは、そういうことだと倍じていた。
「周囲に迷惑をかけたら、どうして産んだんだ、って思われます。自分ひとりで責任を持って育てることができないのに、どうして産んだんだって・・・・・・」
奈緒子は額に手を当てた。
「どうして産んだんですか？」律子がまっすぐに訊いた。
目と目が合った。あまりにも鋭い視線で火花がばちりと散るような気がした。
誰かとこんなに真正面から顔を合わせて見つめ合ったことは、これまでに一度もなかっと思った。
どうして産んだの？
これまで頭の中で幾度も問いかけた質問だった。
予期しない妊娠に気付いてから、正直なところ何度も妊娠中絶手術が9を通った。
トモヤが去ってからは、このまま電車に飛び込んでお腹の子と一緒に死んでしまいたいと思ったことさえあった。
でもそのたびに耳元で、「絶対に駄目だ」という叫びに近い声を聞いた。
誰が何と言おうと、この子を死なせてはいけない。この子の命を守ってあげなくてはいけないと思った。
おっぱいが痛い
第三話
201
「…・・・・会いたかったからです。梨沙に会いたかったからです。これから先の人生を、製分と一緒に生きたかったからです」
奈緒子はごくんと喉を鳴らした。

p.291 はっきり言っていた。
乗り越えたんですか、と言いかけて口を購んだ。律子先生は「乗り越えていない」と、「仕事に戻りました。働かなくては生きていけませんから」律子先生があっさりと答えた。
「仕事って、今と同じ助産師ですよね？辛くはなかったんですか？お子さんを亡くされたばかりで、赤ちゃんとお母さんのお世話をする仕事なんて」思わず阿部さんと同じ質問が口を衝いた。
「復帰の前夜は、さすがに気が滅入りました。ですが、仕事を始めたらすぐに大丈夫だとわかりました。むしろ、この仕事に戻ることができてよかったと、ほっとしました」「どうしてですか？」身を乗り出した。
「人と触れ合うのは、嬉しいことだったからです。安心できることだったからです。大切にしてあげたい誰かの肌に触れていれば、人は心を失うことはありません

p.299 そして、母乳育児は同じ女性が出産しても一人目と二人目では悩みが違うことも多く、母親と赤ちゃんの数だけ母乳育児のパターンがある。母乳外来は、個別相談がほとんどであり、助産師は母親と赤ちゃんの母乳育児を一緒に考える。それは乳房の状態や赤ちゃんの体重だけでなく、家族構成やキーパーソン、職業、生活スタイル、価値観、赤ちゃんの個性など、母子を取り巻く環境をひっくるめてオーダーメイトのサポートを提供するのである。サポートの内容は十人十色で、乳房マッサージの他に、赤ちゃんの抱き方から教えることもあれば、食事のアドバイスをしたり、職方法を説明したり、ただただ話を聞いているだけのこともあ
る。
母親た

2025/09/26

「おっぱいの始まり」
どうした飲んでくれる。
ただでさえ初めてでわからないことだからけだというのに、頑張ってもダメだった時の絶望は大きかっただろうな。

「おっぱいが出ない」
変わってしまった態度。
仕事が忙しくて時間が取れないなら仕方がないと諦められるが、接待にまで積極的に参加していたらストレスだろ。

「おっぱいが痛い」
一人で頑張り続けるが。
大変な時期を乗り越えたとはいえ、身体に不調が出ているのであれば子供のためにも早急に診てもらうべきだろう。

「おっぱいの終わり」
聞こえてくる泣き声に。
いつかは来る日だったとしても、自然にではなく日程を決めてするのは子供だけでなく親も思うことがあるだろう。

2025/08/02

個人的にはちょっと大袈裟な表現やなーとか思ったりしたけど、途中からどんどんおもしろくなって一気読み！改めて、育児って人それぞれやなぁと実感