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スクール=パラベラム(3) 若き天才たちは如何にして楽園を捨て、平凡な青春を謳歌するようになったか ガガガ文庫
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スクール=パラベラム(3) 若き天才たちは如何にして楽園を捨て、平凡な青春を謳歌するようになったか ガガガ文庫

水田陽(著者), 黒井ススム(イラスト)

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スクール=パラベラム(3) 若き天才たちは如何にして楽園を捨て、平凡な青春を謳歌するようになったか ガガガ文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2025/02/18
JAN 9784094532180

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2025/02/28

これまで戦争屋と言える相手と戦ってきただけに、あくまでも学園の生徒でしか無い今回の敵はちょっと特別感を覚えたな 京四郎と違って軍事の世界に身を置くわけではない柳がどこに居たかといえば、才能を愛する五才星学園。けれど学園という枠に収まらない暴力的な才能は学園において彼をあぶれ者とし...

これまで戦争屋と言える相手と戦ってきただけに、あくまでも学園の生徒でしか無い今回の敵はちょっと特別感を覚えたな 京四郎と違って軍事の世界に身を置くわけではない柳がどこに居たかといえば、才能を愛する五才星学園。けれど学園という枠に収まらない暴力的な才能は学園において彼をあぶれ者としてしまう。結果、己の才能を正しく使う事が出来ずに居る そのような存在が敵と成るこの巻だからこそ、キーヒロインとなるのも才能に敗北した宮古となってくるのだろうね 宮古も才能を持つ側の人間だけれど、これまでキーヒロインと成った紗衣や風香とはまた趣の異なるタイプ。2人が自分の才能と直面し、その才能が示す道で戦っていたり振り回されていたりするのに対し、宮古が能力を発揮しようとする方面は才能とは別方向。彼女は己の才能から逃げていると言える 才能ある者が己の才能を他者より高めようと切磋琢磨する五才星学園にて、己の才能から目を逸らそうとしている。それが為に宮古と柳が同類であると見えてくる ならば戦う事しか取り柄がない京四郎が二人と向き合う上で何が出来るのかという点が今回の主題だったのかな これまでの事件が彼に響いたのか、京四郎は無闇に自分を大きく見せようとしなくなったね。情けない自分もありのままの自分も直視して、それでも戦う事を選んでいる。戦いしか出来ないと諦めるのではなく、己は戦えるのだと道を選んでいる それは己の才能を直視できない宮古や柳とは決定的に異なる姿 京四郎は己の才能、戦闘能力を用いて学園を守ろうとする。対する宮古や柳は鏡面のように学園を壊そうとする。それはまるであの学園に対する愛憎の違いを反映しているかのよう 柳相手であれば、京四郎は戦う力を用いて制圧して柳の望みを打ち砕いてやるのだって造作はない。けれど、宮古相手にそれは許されないね。何故なら京四郎にとって愛する学園とは施設の話ではなく、そこに通う生徒を含めた話であり、友だちになった宮古をも含むのだから そう考えると、京四郎にとって対立する柳すら守る相手という話になってくるね。京四郎が父親相手に語った武装した不良生徒達を撃たなかった理由に深みが増す気がするよ 柳率いる不良達は確実に一線を越えている。けれど、そんな相手だって学園の生徒であるならば、彼らを撃ち殺してしまえば学園の平和は乱れてしまう。それは京四郎の守り方ではないわけだ なら京四郎と宮古の相性が早い段階から悪かったのは当然なのかもしれない 京四郎が周囲の多くを守ろうとする存在ならば、宮古は己を含めて全てを壊そうとする存在。彼女のやろうとしている事と京四郎の目指す道は反目する ただ、宮古は京四郎程には徹底した人間には成れなかったのは救いなのかな。というより、才能に絶望しても夢を諦められなかった彼女は己が掲げた目的さえ完遂できる程の強さも無かった 才能を破壊する為に誰を傷付けても構わないと成り下がった柳とは違う彼女だから、京四郎は彼女と寄り添えるし、彼女の甘さに付け込んで彼女を守ると宣誓できる それは何よりも意固地になっていた宮古の心を解きほぐすものだね でも、それによって宮古の方向性が完全に様変わりするなんて思わなかったけども。一瞬にして恋する少女になっちゃったよ、どうするのよあれ……。ただ、あれはあれでとても高校生らしい青春に満ちた心変わりであったように思えるよ 京四郎のすべき事に迷いはなく、宮古も才能に苦しんだ己から脱却する道を選べた ならば、後は気持ち良く敵を倒すだけ。だからって、柳とタイマン張るなんて思わなかったけどね 傭兵の京四郎であるならば決して採らない戦い方。あのような泥臭い根性の比べ合いをしたのは京四郎があの学園で普通の学生らしさを手に入れたからなのだろうと思うと感慨深い でも、傭兵としての京四郎を失ったわけでもないから、普通の学生らしさからあぶれてしまった柳に傭兵の道を紹介できたのだろうな… エピローグは勝利の報酬として特別な非日常が描かれるのではなく、在り来りな日常風景が けれど、それこそが京四郎の手にしたかったものであり、これから宮古が藻掻きながら生きていく場所であり、また風香達と楽しく過ごしていける日常なのだろう それは才能を競い合う学園らしくない光景かもしれないけれど、とんでもなく羨ましい学生生活なのだろうとも思える気持ちの良いラストでしたよ

Posted by ブクログ