あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です(04) GCノベルズ

三嶋与夢(著者), 悠井もげ(イラスト), 孟達

• 販売会社／発売会社: マイクロマガジン社
• 発売年月日: 2024/09/30
• JAN: 9784867166390

商品レビュー

2024/10/01

元ゲームにおいて存在していた脅威を粗方排除してしまったが為に今巻は表面的に平穏そのもの
厄介な規律や慣習が横行する学園の環境は少々平和とは呼びきれないものが有るけれど、敵対者が襲いかかって来ない時点で最早エピローグの雰囲気

だからこそ、本スピンオフにおける脅威は水面下で進行するわけか
特にオリヴィアに取り憑いた聖女の思念体は狡猾だね。オリヴィアの体を手に入れたのだから聖女の力を使って好き勝手するかと思いきや、ユリウス達との親交を深めつつ学園に亀裂を齎そうとするなんて

スピンオフにおける特徴の一つとなっているのはホルファート学園における貴族達の力関係等が本編よりも詳述されている点かな
それによって貴公子であるユリウス達が平民のオリヴィアに夢中になる危うさや伴って生じたアンジェリカの凋落がより重大な意味を持って感じられるようになっているね

だからこそ、貴族達の権力構図を利用し始めたアンは危険だから排除しなければと神の視点で読んでいるこちらは思うのだけど、彼女の行動が徹底して水面下に潜んでいるものだからどうしようもないというむず痒い展開が続く…

事態は深刻度を増していてもリオンが気付ける領域で展開しない。その為か、今巻におけるリオンやマリエは何と云うかあの世界における普通の学園生活を満喫している感じだね
友達と一緒にダンジョン攻略なんて、そりゃそのような姿を見かけたアンジェリカが羨むのも当然というもの

とは云うものの、リオンも遂に事態の異質さに気付いたようだし何らかの形でオリヴィアの現状に介入するのだろうけど
ただ、その為には水面下で発生した別問題に対処する必要もあるのが本当に厄介だ……