寡黙な同居人 ハヤカワ・ミステリ文庫

クレマンス・ミシャロン(著者), 高山真由美(訳者)

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 2024/09/19
• JAN: 9784151862014

商品レビュー

2024/10/28

連続殺人犯であるエイダンがなぜ主人公のレイチェルだけは殺さずに手間やリスクを抱えてまで監禁して生かし続けたのかがとても気になった。レイチェルはエイダンにとって殺したいけど殺せない不思議な魅力を持った人物だったのかもしれない。エイダンはきっと、レイチェルに激しい憎悪を感じながらも、心のどこかでは少なからず愛情を感じていたのかもしれない。

エイダンがエミリーに対する態度からして、彼女は10人目の被害者になっていたかもしれないが、エイダンに盲目的に恋するエミリーの方が、レイチェルよりも監禁する相手としては相応しかったのかもしれない。エミリーなら、彼の裏の顔や世界を知ったとしても受け入れ、自ら喜んで監禁されたかもしれない。

父親が逮捕された後、セシリアが今後どう成長していくのかがとても気になる。まだティーンエイジャーである彼女はレイチェルのことをどう思うのか、やはり自身から父親を奪われたので多少は憎しみを感じているかもしれないが、頭の良い子なので、父親の暗い衝動は少なからず感じ取ることができていたと思うので、時間はかかるかもしれないが、レイチェルに感謝する日がくるのかもしれないと思うと少しは報われるような気がする。

2024/10/17

登場人物の紹介はなく、あなた、彼、私、と主語が代名詞のが続く。突然エイダンと名前が表れ主人公の1人だとわかる。あなたと呼称されてるのは軟禁された被害者。この2人がメインで取囲む周りの人達の生活が詳しく描かれる。
心理的な場面が多いので好き嫌いが別れると思うが名前さえ取られた怖さがひしひしと感じられた。