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歌集 宇宙時刻
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小関茂(著者)

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商品詳細

内容紹介 //付属品~栞(12pの小冊子)付
販売会社/発売会社 点滅社/JRC
発売年月日 2024/09/05
JAN 9784991271953

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2024/10/23

作者の小関茂さんは明治41年生まれ。 自由律の口語短歌で表現した前田夕暮に師事。 栞文がphaさん、東直子さん、町田康さんというので図書館にリクエストしてみました。 自由律の口語短歌はたぶん初めて読んだと思います。 飾らない美しい言葉で書かれた日記のようにも思えました。 こう...

作者の小関茂さんは明治41年生まれ。 自由律の口語短歌で表現した前田夕暮に師事。 栞文がphaさん、東直子さん、町田康さんというので図書館にリクエストしてみました。 自由律の口語短歌はたぶん初めて読んだと思います。 飾らない美しい言葉で書かれた日記のようにも思えました。 こういう短歌もあるのですね。 詩集のようにも感じられました。        街はずれ どっかでつぶやく声のする河ぞい、急にしいんとなる きいろい太陽がゆらゆらかかり、ぷつんとあぶくが浮いてくる 自分をどっかへ棄てようと思い、知らない犬を呼んでみる 青い泥色で描いた街はずれ、私の後姿が見える ぎがんと曲がった橋のアーチ、しなびた子どもらが渡っている でっかい鉄管の中にままごとの道具がすててある、ひっそり    自然への氾濫 なんといふたのしさだ、なんといふさびしさだ、なんといふ長い橋だ 私の中で野原が鳴る、私には私が見えない、さびしさ 野原と空のつぎ目からころがり落ちてやろう、月のあっち側 うすあかり、どこにも陰影のない鉄橋、私が渡っている 自分が大きな存在であることを知った後の、輝く自然    夜・その他 炭の火が白く崩れてゆくのに、カーテンの外はただいちめんの夜じゃないか 犬が尾をふる、犬が憎い、生きてゆくことは嘘をつくことなんだ 春がくる、光りながら見えないもの、人間を憎むことができない 今きたばかりなのに古びたハガキ、なんべん読んでもきいろい黄昏 どっち向いても陰影のないたそがれ、さみしくって歩かれない 人間と人間と人間、ひとつの炭火をみている。小鳥のこゑ    涼秋 どっかで啼いている澄んだ小鳥のこえ、北半球に十一月がくる     春と血 だいこんとみかんと並ぶ店の前雨だれの落ちるところを通る 忘れずに菜の花も添えて買ってくる仏さまにも春はくるゆえ 少し濡れて押しこまれてる夕刊を取出しながらひとりごとをいう もっそりと歩くどっかで僕も人生をよろめいている気がして 泡盛やの赤い提灯のそばをすぎて月ロケットは上がったかなと思う 火星めはあんなに高いところにあるそこで悠然と赤電を待つとする 感冒ひけば未だ眠らぬにうつうつと時空逆転の場をはや通りゆく 人のこえにまぎれて通りゆくを聞きつつ眠る夜半かと思い 寝ながら足の裏の皮などをむくのはやはり春になったせいかしらん 桜の花をぱくりとやってから鯉めは悠々と深みの方へ泳いでいった 七分咲きの桜の下から見上げると花も月も半透明になってしまう。

Posted by ブクログ

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