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ヘルシンキ 生活の練習はつづく
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2024/08/05 |
JAN | 9784480815811 |
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商品レビュー
4.4
8件のお客様レビュー
1作目に続いて、フィンランドについてやアイデンティティ、多様性について、著者が関西弁でツッコミともぼやきとも取れるセリフを入れながら考えていく様がとても快いなあ。
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数年前出た『ヘルシンキ 生活の練習』の続編。前作はフィンランドと日本の差を描くことで多様性を扱った社会学エッセイであり、自分的にも時代的にもビットが立ったバッチリなタイミングで読めて深く刺さった。本作もヘルシンキ在住でワンオペ育児中の著者がエッセイ形式で綴る構成は前作と一緒であり...
数年前出た『ヘルシンキ 生活の練習』の続編。前作はフィンランドと日本の差を描くことで多様性を扱った社会学エッセイであり、自分的にも時代的にもビットが立ったバッチリなタイミングで読めて深く刺さった。本作もヘルシンキ在住でワンオペ育児中の著者がエッセイ形式で綴る構成は前作と一緒でありつつ、戦争やデモ、特別支援学級など扱うテーマがより深く、より強く社会学の要素が出てきており、難解なテーマゆえ章ごとにいろいろ考えさせられた。というか読んだ人と語りたくなる作品でした。 デモの章。プレイヤーたちのデモやストライキは国や組織にとって非常に重要であるということが丁寧に書かれており、目から鱗。著書同様自分も、集団で何かを占有したりする行為は「迷惑なこと」という無言のバイアスをこの日本でずっと感じてきたし、今でも上に文句言うくらいやったらまず自分で何とかせなという意識が働く。後者はまだしも前者のバイアスは一体どこで培われたものかは分からんけど、本書では(前作からも)一貫して「言わな分からん」という主張が為される。 言わな、分からんということが分からん。 言わな、不満があるということが分からん。 それは以心伝心が美徳とされがちな日本で足りないスキルで、学ぶべきことは多い。 正しく代表されていない人々は、集団を作らなければ、声を上げても無視される。だから集団を作らないといけない。これも正しい。正しく代表されていないのなら、集団を作って、自分たちが運切に代表されるように活動しないといけない。 あとは特別支援学級の話。ここも凄かった。フィンランド語で "違う、多様な" を「エリライシア」というらしいが、 「エリライシアが当たり前であり、誰でも支援が必要」 という前提に立った場合、マイノリティがマジョリティに合わせるということは無くなるという話。マジョリティがマイノリティになる、或いはそれが出来なかったらシステムや機能そのものを変えるべきという主張やけど、考えてみるとそれはとても難しい。例えば集団に上手くコミュニケーションできない人がいて、エリライシアでない世界であればその人が糾弾される「対ヒト」構図の攻撃になる。一方で著者が書くエリライシアの場合、その人は支援が必要で、そしてシステムを疑うべきなので、例えばコミュニケーションツールを入れて多様な意思疎通を可能とする、といった具合。 けどそれを1人に対応するだけで多くの人間が動くのに、「誰もが支援が必要」なのであればそれが×Nとなり早々に破綻してしまう。人が減り続けて効率化が求められる日本でそんなリッチで悠長なこと言ってられない、と途方もなくなるが、そういう、あるべき姿を知っておくだけでも意識は変わると思いました。 普通の子どもと特殊な子どもがいるなら、「特殊」とみなされることは異なる扱いを受ける根拠となる。それを差別(=排除)だと感じることもあれば、「あいつは得している」「ずるい」(=特権)と感じることもあるだろう。他方で、誰もが特殊で、自分に応じた個別の支援を必要とするなら、特殊であることは当たり前のことになる。(略)その建前は、障害など存在しないとか、支援など必要ないとかいうことの対極にある。誰もが支援を必要とする、だから、支援を必要とする人は特殊ではない。
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子供とのやりとりのくだりは、ブレイディみかこの著作とテイストが重なる。ただ基本的なノリは、この著者の方が生真面目で誠実。関西人らしい混ぜ返しもつぶやくように生真面目に繰り出してくるところが面白くて魅力的。あなたが無意識に手にしているのは人権でなく特権です、という指摘にはハッとさせ...
子供とのやりとりのくだりは、ブレイディみかこの著作とテイストが重なる。ただ基本的なノリは、この著者の方が生真面目で誠実。関西人らしい混ぜ返しもつぶやくように生真面目に繰り出してくるところが面白くて魅力的。あなたが無意識に手にしているのは人権でなく特権です、という指摘にはハッとさせられた。
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