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屍王の帰還(1) 元勇者の俺、自分が組織した厨二秘密結社を止めるために再び異世界に召喚されてしまう MFブックス
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2024/07/25 |
JAN | 9784046833730 |
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屍王の帰還(1)
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2
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★2.5。可もなく不可もなし。悪くはない。むしろ、設定は面白いと思う。中学3年生の頃に集団で異世界に召喚された主人公シオウ(屍王)。悪魔王との戦いにおいて仲間たちが死にゆく中、自分だけが生き残り、厨二病を拗らせてつくった組織「ヘルヘイム」と共に悪魔王を倒す。その後、無事に元の世界に戻ったものの、異世界では「ヘルヘイム」を語る何者かが世界を脅かしているという。シオウは再び異世界に召喚され、真相に迫る。過去の厨二病が生み出した仲間たちとのやりとりに悶えながら…というお話。 本作は既存の異世界転移ものの定番パターン、特に集団で異世界に勇者として召喚されるタイプの物語をうまく活用している。ジャンルは異なるが、勇者のその後を描く点では『異世界おじさん』、厨二病を拗らせた点は『陰の実力者になりたくて』などを彷彿とさせる新しさを感じた。異世界ものでは、転生や転移するところから話が始まることが多い。しかし、この作品では主人公が一度ラスボスを倒して帰還し、再び異世界に召喚されるところまでがダイジェストで描かれる。異世界ものに慣れている人にとっては、別の作品で異世界召喚されてからの流れが蓄積されているため、詳細に描かなくても想像できる。本作ではこれを利用している点が上手いと思った。過去に読んできた異世界召喚ものの知識が、導入部分を補完する役割を果たしているのだ。10年前や20年前なら、導入の描写があっさりしているという意見があったかもしれない。しかし、2024年の現在だからこそ、詳しい説明なしでもこのような導入が可能になったのだと思うと、感慨深いものがある。 ⚫︎気になった点 ①仲間集めのテンポが速すぎて、180年という時間の重みが感じられない。主人公の魔力を感知して、2人の仲間があっという間に集まる。仲間がチート能力を持っているため、仲間がすぐに集まるというのも納得はできるが…180年の時間の余韻がなかったのがやや残念。 ②転移の魔法が使えるため、世界がすごく狭く見える。世界が点と点でしか描かれないため、奥行きがないように思ってしまう。京都旅行でバスを使って移動するのと、徒歩で街の雰囲気を味わう違いに似ているかもしれない。 ③主人公の能力はリセットされるものの、結局主人公無双系。自分のキャラクリエイト方法を知っているため、淡々とレベルアップしていく育成ゲームの2周目のような主人公の成長感。弱体化させる必要があったのだろうか。 ④キャラの掘り下げはこれからやるにしても、設定の面白さを活かしきれていない感がある。例えば、マスコット的な獣人と駄竜という確立されたキャラ以上の魅力がない点がやや残念である。仲間との再会や過去の喪失感などの感情描写をうまく表現できたらもっとよかったと思う。とりあえず仲間を集めることと、偽物「ヘルヘイム」を追う流れを小説にまとめただけになってしまっており、もったいない。 ⚫︎総評 この作品は「こんな設定で物語を作ったら面白いのでは?」というアイデアの段階で止まってしまっている印象を受けた。キャラクターの深掘りや感情描写をもっと丁寧に行えば、より魅力的な作品になるポテンシャルはある。既存の異世界召喚ものの流れを引き継ぎつつ、物語を構成する点は良いが、逆に既存の物語のテンプレ設定に引っ張られ過ぎてしまっているようにも思える。現状では、仲間を集める目的と偽物の正体を追究するのを楽しむ物語になっているのが少し残念。
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