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読むこと観ること
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | アーツ・アンド・クラフツ |
発売年月日 | 2024/02/29 |
JAN | 9784908028939 |
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読むこと観ること
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長野県上田市にある「無言館」。 戦没された画学生の残した作品が展示されているとのことで、いつかその空気感に触れに行きたいなと思う。「何も考えない白紙の気持ち」で絵と対峙することで、得られる感銘や共鳴を味わってみたい。 その無言館の館長さんが書かれた、読書と美術鑑賞についての本。...
長野県上田市にある「無言館」。 戦没された画学生の残した作品が展示されているとのことで、いつかその空気感に触れに行きたいなと思う。「何も考えない白紙の気持ち」で絵と対峙することで、得られる感銘や共鳴を味わってみたい。 その無言館の館長さんが書かれた、読書と美術鑑賞についての本。 「読めば良いんだ、見れば良いんだ、作品の内容を知ればいいんだ、という結果だけを追っているような気がします。その本と出会う、絵と出会うという時間がどこかに飛んでしまっている感じがする。 大切なのはその時間なのです。 どこかに出かける。美術館に出かける。図書館に出かける。実はその旅は、家を出たときから始まっている。 日常の自分に背を向けて、普段ではない空間に向かって足を運ぶ。それは、一種の冒険の旅であるともいえる。そしてその冒険の旅は、その「旅に出よう!」と思った瞬間から始まっているわけです」(pp..54-55) この考え方はその通りだなと常々思っている。 時間がないのでまずは結果だけを知る、、ということで終わってしまって、過程を味わう癖がなくなってしまうことがもったいないと自戒を込めておきたい。 「絵を読む」「本を観る」という美術と本を合わせたテーマで考えるからこその発想はいいなと思う。 ■長田弘 「蔵書というものは、人生の一つ一つのレンガを積み上げていく作業に似ている。わたしたちは人生という一つの建築物を、一冊一冊の本というレンガを積み重ねることによってつくり上げている。即ち、その蔵書という自分の精神の魂の分身といっていい一つの世界は、その人の人生観、その人の生きてきた道、生き方、そういうものを表現しているものである」(p.85) ■芥川龍之介 人生を幸福にするためには 日常の瑣事を愛さなければならぬ。 雲の光、竹の戦ぎ、群雀の声、行人の顔、 ――あらゆる日常の瑣事の中に 無上の甘露味を感じなければならぬ。 人生を幸福にするためには ――しかし瑣事を愛するものは 瑣事のために苦しまなければならぬ。 人生を幸福にするためには 日常の瑣事に苦しまなければならぬ。 雲の光、竹の戦ぎ、群雀、行人の顔 ――あらゆる日常の瑣事の中に 堕地獄の苦痛を感じなければならぬ。(p.120) 病床の人(頭木さん)が読んで衝撃を受けたとあるが、療養中の方には芥川龍之介の言葉はあまりに刺激が強い気もするが、そういう状況だからこそ思うところもあるのかもしれない。 最後に、旅に伴う一冊の本の効能について触れられていた話が印象に残った。最近は旅行に行く頻度も変わってきてしまった気はするが、こんな姿勢でこれからも旅行にいきたいな。 「自分の気に入った一冊の本を携えるということには、自分の感性を瑞々しくさせておく。そういう効果があるのです。一冊の本がある。お茶を飲みながらペラペラっとめくる。冒頭の一行、あるいは何ページ目かにあるフレーズ、あるいは後書きのなかにある印象的な言葉。けっして一冊の本を通読、完読しなくても、そうしたたくさんの言葉が散りばめられた、その一冊の書物を携えることが、折りに触れて自分の心身を心地よく刺激してくれる。 見知らぬ町でお茶を飲んでいるとき、ぼんやりと町の人の波をながめているとき、あるいは並木道をそよぐ風の音に耳をすませているとき、そういう時間をすごす自分の感性を、眼にみえぬところで磨いてくれる。そういう非常に素敵な役割を果たしてくれるのが、旅先に携える一冊の本であると思うのです」(pp.148-149)
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※このレビューにはネタバレを含みます
上田の無言館に行く前にこの本を読み、併設の図書館について本をめぐる話を得てから行くといいと思われる。 欲を言えば無言館とこの図書館への行き方が書いてあればいいと思うのだが。
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